香港の法廷で、いまなお続く訴訟。このなかで、これまでにわかっていること、はっきりしていることをここにまとめました。
ここで取り上げる訴訟の概要 |
訴訟提起の日付 | 管轄の裁判所 |
2017年12月27日 | 香港高等法院 |
原告 | 被告 |
Tiger Resort Asia | 岡田和生、 オカダホールディングス、 李堅、ゴールドラックテック、 Okada Fine Art ※各被告の詳細についてはこちらを参照 |
訴訟の内容 | |
ユニバーサルエンターテインメントの子会社・Tiger Resort Asia(TRA)が、岡田和生氏らを相手取って提起した訴訟。ユニバーサルエンターテイメントグループの調べでは、
などが確認されたとして、原告から関係各位に対し、これらについて賠償を求めている。リンク先の訴訟(イ)に該当。 |
裁判所からお達し――「銀行口座の記録を開示せよ」
「ユニバーサルエンターテインメントグループから不正な形で資金が流出した責任は、岡田和生氏にある」。こんな追及からはじまったこの訴訟で目を引くのは、問題の資金がどこにどう流れて、どう使われたか、足どりを可視化している点です。法廷では、流出した資金に見合うだけの賠償を求めている原告陣営が、ここで判明した足どりをもとに、岡田和生氏への追及を強めています。
資金の足どりは、裁判所から関係各所に銀行口座の記録を開示するよう命じたことで、明るみになりました。
まだ、すべての記録が開示されていないため、追いきれていないところは多少残っていますが、それでも「岡田和生氏がユニバーサルエンターテインメントグループから1億3500万香港ドルを流出させ、詐取した」と見られている件については、あらかた流れを追えるようになっています。以下では、これらをコトの発端から順に並べつつ、図解にしました。
「消えた1億3500万香港ドル」の足どり
※ここに掲載した図解は、2021年8月までに公になった事実をもとにしています
【0】問題の資金が流出する前の事実関係
- 2014年11月24日に、オカダホールディングスは李堅氏に融資という名目で1億3500万香港ドル(=当時のレートでおよそ20億円)を送金していた
- 李堅氏は資金の受け皿として、「ゴールドラックテック」なる会社の銀行口座を使っていた
- 上記の送金を実行したあと、2015年期首の時点でオカダホールディングスの銀行口座に残ったのは、およそ4498万香港ドルだった
【1】問題の資金がオカダホールディングスに流れ込むまで
- 2015年3月3日に、ユニバーサルエンターテイメントの子会社・Tiger Resort Asiaからゴールドラックテックに、貸付金として1億3500万香港ドルが送られる
- この1億3500万香港ドルこそ、「岡田和生氏が流出させた」と見られているもの
- 続いて同月4日~13日にかけて、ゴールドラックテックからオカダホールディングスの口座に合計1億3000万香港ドルが送られる
- この送金によってオカダホールディングスは、前年の11月24日に融資という名目で李堅氏に送金していた1億3500万香港ドルのほぼ全額を回収する格好になった
- ここで李堅氏がなぜ残りの500万香港ドルを送らなかったのか、何かに使ったのかについてははっきりしていない
【2】岡田和生氏がオカダホールディングスから引き出した資金で美術品を購入するまで
- 2015年3月13日に、オカダホールディングスの口座から岡田和生名義の口座に8億8700円(=5680万香港ドルに相当/法廷での呼び名は「1st Sum」)を移す手続きがとられた
- 同月16日に上記の8億8700万円が岡田和生名義の口座に着金
- 同月18日に、岡田和生氏が口座から5億円、3億8700万円をそれぞれ引き出す
- この5億円と3億8700万円は、岡田和生氏が購入した美術品の代金として、壺中居と寺元晴一郎氏に支払われた
- Tiger Resort Asiaからゴールドラックテックを経由してオカダホールディングスに還流した資金がなければ、岡田和生氏はここで美術品の代金を支払えなかったのは間違いない
- このことから、岡田和生氏がユニバーサルエンターテインメントグループの資金を私的流用しているのは明らかだと言える
- 李堅氏がオカダホールディングスに送った1億3000万香港ドルから1st Sumを差し引いた残りの資金(=7320万香港ドル/法廷での呼び名は「2nd Sum」)は、そっくりそのままオカダホールディングスに残っていると考えられたものの、実際はそうなっていない(※詳細は後述していく)
裁判所の判断と岡田和生氏の対応
- 裁判所は岡田和生氏に対して、1st Sumの所在と詳細を開示するよう命じるとともに、この資金(に相当するもの)を保全するよう命令している
- これらの命令は、原告が勝訴した場合の「とりっぱぐれ」をあらかじめ防ぐためのもの
- 裁判所は2nd Sumについても、オカダホールディングスに対して同様の保全命令を出した
- しかし、調査の過程で2nd Sumに相当するだけの資金がすでにないとわかり、この命令は本来期待された役割を十分に果たせないものになっている
- 当の岡田和生氏は、1st Sumを美術品の購入に充てたとしているものの、どんな美術品を購入したのか、といった詳細については説明をずっとかたくなに拒んでいる
- 氏にとって、何か明るみになるとまずいことが隠されている可能性は否定できない
【3】再び岡田和生氏がオカダホールディングスから引き出した資金で美術品を購入するまで
- オカダホールディングスの口座に新たな入金が2件あった
- 1件は2015年5月8日にα(仮称)から送られてきた1億香港ドル
- もう1件は同年8月26日にβ(仮称)から送られてきた4980万香港ドル
- αとβについては、いまのところいずれも今回の事件と関連がないと判断されて、非公表扱いになっている
- 2016年6月7日になって、オカダホールディングスの口座から岡田和生名義の口座に約10億200万円(=法廷での呼び名は「3rd Sum」)が移る
- 同月15日、上記3rd SumがOkada Fine Artの口座に移る
- さらに同日、Okada Fine Artの口座から10億円が寺元晴一郎の口座に渡る
裁判所の判断と岡田和生氏の対応
- 裁判所は岡田和生氏に対して、3rd Sumの所在と詳細を開示するよう命令
- また、3rd Sum(に相当するもの)の保全も命じている
- しかし当の岡田和生氏は、この資金で美術品を買ったと説明するだけで、いまのところその詳細まで開示していない
- 当初、裁判所が下した命令に従う期限は2019年6月14日だった
- 岡田和生氏が奇妙なのは、懇意にしている美術商の寺元晴一郎氏にたずねればすぐわかることなのに、回答を先延ばしにしてきたこと
- やはり、よほど何かあるように映る
- ちなみに裁判所は、こういった岡田和生氏の対応を「情報開示命令を遵守していないことは明らかであり、悪質」として批判している
寺元晴一郎とは?
美術商。フィナンシャル・タイムズ紙によれば岡田和生氏とは「昔からの親友」という間柄にあるとのことで、箱根・岡田美術館ではオープン当初から2018年3月ごろまで副館長を務めていた。過去には、彼の発見した浮世絵「深川の雪」を岡田和生氏が買い上げたとのことで、ニュースにもなっている。ふたりが懇意にしていたのは間違いない。
【4】岡田和生氏がオカダホールディングスから引き出した資金をフィリピンの関係者に配った(?)記録
- 2016年8月23日に、オカダホールディングスの口座から岡田和生名義の口座に1800万米ドルが移る
- 同月31日、上記1800万米ドルのほぼ全額が、BDOユニバンクにある岡田和生名義の口座に移されて約8億3717万フィリピンペソに替わる
- 2016年9月27日に、岡田和生名義の口座から「Merlita R. Montefalcon」なる名義の口座に10万フィリピンペソが渡る
- 同月30日に、岡田和生名義の口座から「Laurence Hawke」なる名義の口座に30万フィリピンペソが渡る
- 同年10月11日に、岡田和生名義の口座から「Ivarluski Aseron」なる名義の口座に10万5000フィリピンペソが渡る
- 同月25日に、岡田和生名義の口座から「Transasia Construction Development Corporation」なる名義の口座に4億5000万フィリピンペソが渡る
- 同月27日に、岡田和生名義の口座から「Dindo Espeleta」なる名義の口座に3億フィリピンペソが渡る
裁判所の判断と岡田和生氏の対応
- 岡田和生氏は、これら5件、総額7億5050万5000フィリピンペソの送金について、「受け取り主がどう使ったかは知らない」と説明している
- また、「一部の送金はオカダマニラに関連して支払った」とも主張
- しかし、これらの送金はあくまで岡田和生名義の口座から送金しているのだから、氏の主張は不可解だと言える
- 裁判所は、原告が請求している賠償金に見合うだけの資産をあらかじめ確保するため、4th Sumについてもその一部に保全命令を出している
【5】オカダホールディングスからOkada Fine Artに資金が移された記録とその後の残高
- 2017年5月17日に、オカダホールディングスの口座からOkada Fine Artの口座に3億500万円が移る
- オカダホールディングスの口座では、このほか3件の引き出しがあったが、いずれも僅少な額にすぎない
- 5th Sumの送金のあと、岡田和生氏に代わって息子の岡田知裕氏がオカダホールディングスの実権を手にした
- この時点で、同法人の口座残高はおよそ3508万香港ドルになっていた
- これは、2nd Sumの半分にも満たない規模
- また、この金額は、当初オカダホールディングスの口座にあった4498万香港ドルよりも少ない
- 岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテイメントグループからオカダホールディングスに流れていた資金を使い切ったとも言える
この訴訟の経過は、おそらく香港の汚職捜査機関・ICACも注目しているはずです。
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「犯罪嫌疑は晴れた」と主張した岡田和生氏が目をそむけたい『不都合な真実』
ここに、「奇妙な事実」があります。そしてこの事実に基づけば、岡田和生氏の主張は、またしてもたちまち矛盾をはらんだものになります。言うなれば、これは氏にとって「不都合な真実」になるのでしょう。――皆様、 ...
ここで取り上げた訴訟の続報をまとめました。
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【情報メモ】香港で20数億円相当の賠償請求に直面する岡田和生氏の対応ぶり
香港で続く訴訟に、いくらか進捗があったことを確認しました。岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテインメントグループから流出した総額1億5000万香港ドルあまりに関連して賠償請求を受けているこの訴訟におい ...
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