香港で続く訴訟に、いくらか進捗があったことを確認しました。岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテインメントグループから流出した総額1億5000万香港ドルあまりに関連して賠償請求を受けているこの訴訟においても、ひどい対応を繰り返しているようです。
ここで取り上げる訴訟の概要 |
訴訟提起の日付 | 管轄の裁判所 |
2017年12月27日 | 香港高等法院 |
原告 | 被告 |
Tiger Resort Asia | 岡田和生、 オカダホールディングス、 李堅、ゴールドラックテック、 Okada Fine Art ※各被告の詳細についてはこちらを参照 |
訴訟の内容 | |
ユニバーサルエンターテインメントの子会社・Tiger Resort Asia(TRA)が、岡田和生氏らを相手取って提起した訴訟。ユニバーサルエンターテイメントグループの調べでは、
などが確認されたとして、原告から関係各位に対し、これらについて賠償を求めている。リンク先の訴訟(イ)に該当。 |
ここでは、この訴訟のなかで重要視されているふたつの送金、「3rd Sum」と「4th Sum」について、
- 岡田和生氏がどう説明しているか
- 岡田和生氏の説明に判事はどんな見解を示したか
を中心に、まとめました。
これまでこの訴訟では、岡田和生氏が問題の資金をどこにどう流したか、その足どりを、岡田和生氏個人の銀行口座取引記録などからつかんできました。判明した資金の流れ、そのすべてを把握したい方は、過去に公表したこちらの記事をまずご覧ください。
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【情報メモ】香港の法廷で暴かれつつある「岡田和生の使い込み」全容
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※ここで取り上げる話は、2022年7月29日までに公になった事実をもとにしています
「3rd Sum」と「4th Sum」について
便宜上、この訴訟のなかで「3rd Sum」「4th Sum」と呼称されているのは、それぞれ2016年6月と2016年8月に、オカダホールディングスの銀行口座から岡田和生氏個人の銀行口座に渡った資金のこと。「3rd Sum」「4th Sum」ともに、その原資をたどると、ユニバーサルエンターテインメントグループから流出した資金に行き着くため、裁判所は資金の保全を図る一環で、岡田和生氏に対して、これらの詳細を開示するよう命じている。
美術品の購入費用になった「3rd Sum」
「3rd Sum」は、2016年6月7日にオカダホールディングスから岡田和生氏個人の銀行口座に渡った10億200万円。そしてこのうち10億円が、同月15日に美術品購入費用として美術商の寺元晴一郎氏に支払われたことまでは、銀行口座取引記録などから把握できている。
問題は、この10億円で買った美術品の内訳がはっきりしないこと。裁判所は、購入した美術品の詳細を開示するよう岡田和生氏に命じたものの、当の岡田和生氏はこれまであやふやな説明に終始してきた。
フィリピンの関係先に渡った「4th Sum」
「4th Sum」は、2016年8月23日にオカダホールディングスから岡田和生氏個人の銀行口座に渡った1800万米ドル。同月31日に、このほぼ全額がフィリピンペソに替わったのち、2016年9月~10月にかけて、フィリピンの関係先5ヶ所に送金された。
香港の裁判所は、3rd Sumと同様に、4th Sumについても資金使途を開示するよう、岡田和生氏に命じている。
岡田和生氏の弁明要旨
以下は、2021年4月22日に、「3rd Sumと4th Sumの詳細を開示しなければ、すぐにも判決を下す」という取り決めになったことから、改めて岡田和生氏が弁明した内容。岡田和生氏は、これらの弁明を、2021年9月15日までに済ませた。
3rd Sumについて
- (美術商の)寺元が岡田美術館を去ったあと、私は彼に連絡をとっていなかった。
- 寺元のことをインターネットで検索したところ、佐賀でカフェを経営しているとわかったので、私は弁護士を通じてカフェの住所に書簡を送った。
- また、以前、寺元本人から教わっていた携帯電話番号に連絡を入れた。
- 話はできたものの、私が購入した美術品に関する情報を提供するよう求めても、彼は応じなかった。
- 2021年5月7日と10日、自宅にいたところ、寺元がたずねてきた。しかし、寺元は何の情報も提供しなかった。
- 2021年5月19日に改めて寺元と会った。しかし、寺元はここでも美術品に関する情報およびその理由を一切開示しなかった。
- 2021年6月に入ってから、寺元は自分が扱った美術品の詳細について、文書でこう伝えてきた。「我々の仲間内では極秘にしなければならない。これは美術商の職業的義務でもある」。
4th Sumについて
- 私と私の弁護士は、送金相手のひとり、Merlita R. Montefalconを特定できなかった。
- Laurence Hawkeとは、2021年5月19日に私の弁護士が話をした。
- Hawkeは、自分がオカダマニラの社員だったことはおぼえていたが、支払いの詳細までおぼえていなかった。
- Ivarluski Aseronは、フィリピンのファッションデザイナーだった。
- 私はおぼえていないが、Aseronへの支払いはデザイン料か、Aseronが作った服の代金であったと考えられる。
- Trans Asia Construction Development社には情報提供を要請したが、回答はなかった。
- しかし、同社はオカダマニラの建設に関わった会社なので、この支払いは建設プロジェクトに関連したものだと確信している。
- 同社およびDindo Espeletaとは継続中の紛争があるため、私のアシスタントは彼らに連絡を取ることができない。
その他の弁明
- 私は、世界中に展開する事業会社の経営者として多忙な日々を送っていた。
- 自分の仕事を部下に委ねていた。
- 部下のひとりは、数ある金融取引のすべてを処理した。
- 私は彼を信頼し、自分では記録を残さなかった。
- 私は会社から追放されたので、美術品に関する情報をふくめ、会社が保管する記録にアクセスできない。
- 私は高齢であり、健康状態もよくない。