巨額の不正送金。横領。特許権侵害。岡田和生氏に端を発した問題はこれまでも数々の事例が明らかになっていますが、あれらですべてというわけではなかったようです。このたび香港で、ユニバーサルエンターテインメントグループから岡田和生氏に対して新たな訴訟を起こすとの話が報じられています。
オカダマニラの開発で過剰な支出との指摘
ユニバーサルエンターテインメントグループから岡田和生氏に対して提起している訴訟はすでに複数あり、このなかにはもうじき判決が出ると見込まれるものもありますが、このたび報じられた訴訟はまったく新しいものです。この件を取り上げた香港の報道にはこうあります。
香港の報道から
原告為Universal Entertainment Corporation和Tiger Resort Asia Limited,被告為岡田和生。
意訳:原告はユニバーサルエンターテインメントとTiger Resort Asia(TRA)。被告は岡田和生。惟他任董事期間,違反對原告的責任,令兩間原告公司透過子公司發展菲律賓馬尼拉度假村項目「Okada Manila」時超支。
意訳:被告はかつて原告両社の取締役に就いていた間、会社の責務に違反し、フィリピンマニラのリゾートプロジェクト「Okada Manila」の支出を過剰にした。兩間公司現要求法庭頒令,岡田和生需作出賠償。
意訳:ユニバーサルエンターテインメントとTRAは、岡田和生に賠償を求めている。
今回の訴訟において損害賠償請求の根拠となる「オカダマニラの過剰な支出」というものが、具体的に何を指すのか、そこはまだわかりません。訴額に関しても不明です。ただ、オカダマニラのプロジェクトに対する投資は日本円にして総額3791億円にものぼります(※2018年12月期 有価証券報告書参照)から、この訴訟で岡田和生氏に請求する賠償の規模も、相応に大きなものになることは間違いないと考えられます。
おそらく詳細については、訴訟提起の正式な手続きが済み次第、会社から公表されることになるのでしょう。会社から提起した訴訟は、これまでもリリースを通じて公表されてきました。今回の訴訟はまだ、準備段階にあるのかもしれません。
香港の法律事務所のウェブサイトから
訴訟へ進む前に考慮すべきこと
資産状況の調査
訴訟を起こす前に、相手の経済状況をきちんと調査するのは極めて重要である。回収できなかった場合、勝訴の判決は何の価値もない紙となる。回収を目的として訴えるのであれば、弁護士の責任として、事前に、清算や香港に資産価値のある財産の有無などの相手方の経済状況を調べないと業務過失を認定されるリスクがある。
なお、参考までにふれておきますと、香港においてはユニバーサルエンターテインメントの子会社・TRAから岡田和生氏らに対して提起した別の訴訟も係争中です。
香港で先行して提起されていた損害賠償請求訴訟の概要 |
訴訟提起の日付 | 管轄の裁判所 |
2017年12月27日 | 香港特別行政区高等法院 |
原告 | 被告 |
Tiger Resort Asia Limited | 岡田和生、Okada Holdings Limited、 李堅、Goldluck Tech Limited、 Okada Fine Art Limited |
補足説明 | |
原告・TRAは、岡田和生氏の任務懈怠(=取締役としての任務をおこたること)によって被った損害そのもの(=約20億円)を請求している。この訴訟を提起した当時に会社から公表されたリリースはこちら。 |
今回の件が追加されると、岡田和生氏は香港の民事訴訟においてふたつの問題を抱えることになります。
岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテインメントの創業者であると同時に、一代で大きな財を築いた富豪としても知られた存在です。毎年、各国の各媒体が発表する「長者番付リスト」の類には、常連のように名を連ねて ...
【香港では別途離婚の話もあるから、ご本人からすると問題は3つなのかもしれない】
岡田和生氏が離婚へ 自ら認める
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