ユニバーサルエンターテインメントに潜む「闇」

当サイトをひと通りご覧になったのであれば、ユニバーサルエンターテインメントが抱える問題の本質を、ご理解いただけたものと思います。要約すれば、「ある企業の創業者に、法令違反があったかどうか問われている」というわけです。ただし、これがすべてか、といえば、そういうわけではない可能性があることも付け加えておきましょう。読者の皆さんが考えるよりずっと、この闇は深いのかもしれません。

ユニバーサルエンターテインメントに潜む「闇」

企業に忍び寄る魔の手

世の中には、企業のスキに付け入って、経営の中枢に入り込み、私腹を肥やそうとする人たちがいるのをご存知でしょうか。例えば過去2002年~2004年ごろ、上場企業の大盛工業と、その子会社だったジャパンメディアネットワーク(通称JMネット)が舞台になった事件。この件では、JMネットがこれから提供するという新サービスを大々的に売り込み(実態は実現見込みのない話)、投資家の関心を集め、JMネットの親会社である大盛工業の株価高騰に結びつける一方で、内部関係者が大盛工業株式を売り抜けるという構図になっていました。きっかけは、債務超過に苦しんでいた大盛工業に対して、ある金融ブローカーが接近したこと。当該ブローカーはのちに「風説の流布」で逮捕、起訴されて、懲役2年6ヶ月と、追徴金15億円超の実刑を受けています。


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なお、このあたりの実例について詳しく知りたい方は、兜町コンフィデンシャルをご覧になるとよいでしょう。本のなかでは、各種資料や裁判の記録、関係者へのインタビューなどに基づき、さまざまな問題事件・案件が取り上げられています。


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過去の事例と似た構図

さて、こうした話が、もはや過去のものであるかといえば、そういうわけでもありません。時代の移り変わりとともに、手を変え品を変え、形を変えて、暗躍しようとする人やグループが絶えず存在している、というのが現実のようです。岡田家のプライベートカンパニーであるOHLの貸し付け取引に絡んだ、佐戸康高氏もまた、裏で暗躍してきたひとり、というのが大方の見方です。

送金先から浮き彫りになる不気味な人脈 ​
貸付先になった李堅氏と、岡田和生氏。ふたりの足跡をたどっていくと、おかしな人脈が浮き彫りになります。

根拠のひとつは、佐戸康高氏が2017年10~11月にかけて逮捕、起訴された相場操縦事件に関連して、その舞台になったストリーム社の創業者にも逮捕状が出ていること。そして、別のふたりが佐戸康高氏と同じくすでに逮捕、起訴されていること、です。ふたりのうちのひとり、笹尾明孝氏は日本エルエスアイカード社の架空増資事件で、もうひとりの高橋利典氏には井上工業社の架空増資事件で逮捕、起訴された過去があります。この手の話では、複数の人間が役割分担して連携するのが定石であり、今回の多岐に渡る顔ぶれを見ても、似たような構図になっています。

報道によれば、ストリーム社の相場操縦事件における容疑の対象は、2014年2月中旬ごろの取引とされています。

『逮捕容疑は、平成26年2月中旬ごろ、ストリーム株について直前の株価を上回る価格で連続して買い注文を出すなどして、不正に株価をつり上げたとされる。』
(引用元:「ストリーム」株を操作 相場操縦容疑で男3人を逮捕 警視庁)

2014年といえば、容疑対象の直前にあたる1月30日には、ストリーム社が公表していた第三者割当増資の払込が完了したこともあります。この増資については、ストリーム社が新規に発行する株式3億円ぶんと新株予約権715個を、香港の会社が引き受けた、というものです。しかし、引き受け手になった会社は、総資産が日本円にして5億円足らず、年商はわずか400万円ほどで、営業利益にいたっては赤字を続けていました。増資の引き受けが身の丈にあっていたかといえば、疑問符のつくところでしょう。

また、2018年11月には、この増資に関連した有価証券届出書について、ストリーム社自身が社内で調査をはじめたことも明らかになっています。捜査との関係性をうかがわせますが、実際に関係があるのかどうかは、じきにわかるはずです。

『当社は、平成26年1月30日にLicheng(H.K.) Technology Holdings Limited を割当先として、普通株式及び新株予約権の第三者割当を行い、これに先立つ平成26年1月14日に有価証券届出書を提出しているところ、新株予約権に関わる有価証券届出書の記載事項に誤りがある可能性について外部から指摘を受けたため、その記載内容の適切性について検証することとしました。』
(引用元:社内調査委員会の設置に関するお知らせ)

足もとの捜査は糸口にすぎない可能性

捜査当局が、何かの事件を足がかりにして、本命と目する案件を摘発しにいく、というアプローチはたびたび見られるものです。先に挙げた日本エルエスアイカードの事件もそうでした。今回また似たようなアプローチがとられていたとしても、不思議ではないでしょう。

『じつは駿河屋事件の次に大阪府警が内偵を進めたのは、ゼクーの乱脈経営だった。(中略)しかし、結果的には事件とならなかった。
その後、ターゲットを変更した先が、ゼクーとも絡み合う日本エルエスアイカードだった。強制捜査は小切手の無断振り出しによる商法の特別背任容疑から入り、次に架空増資事件へと伸びた。』
(引用元:兜町コンフィデンシャル 第八章 大阪府警の奮闘)

捜査の進展とともに、点と点がつながっていくようになれば、岡田和生氏がなぜ、佐戸康高氏のような人物と接点を持つに至ったのか、明らかになることも考えられます。興味深いのは、ここで紹介した兜町コンフィデンシャルの著者でもあるジャーナリストが、今回の件を追っているということ。……事実は小説よりも奇なり、なのかもしれません。

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