ウソのパターンはだいたい3つ
手始めに紐解いた4350万ドルの事例は、言うなれば「自分にとって目ざわりな人間をおとしめるためのウソ」です。岡田和生氏のウソはほかにも2つのパターンがあり、大まかに分類すると次のようになります。
岡田和生氏が口にするウソのパターン
- 自分にとって目ざわりな人間をおとしめるためのウソ
- 部下や周囲の人間に責任転嫁するためのウソ
- 強引にでも自分の正当性を訴えるためのウソ
ここからさらに実例をご覧に入れていきましょう。
岡田和生氏のウソがわかる好例(2)
(部下に責任転嫁する)

岡田和生 公式サイトから

岡田和生 公式サイトから
この話の概要 ※すべて岡田和生氏の主張に基づく
- 岡田和生氏が独断でユニバーサルエンターテインメントグループから李堅氏に約20億円を貸し付けたとされる問題について、本人は「当時知らなかった」と弁明している
- 上記の貸付に先立って、岡田家の資産管理会社・オカダホールディングスから李堅氏に約20億円を貸し付けていたことも「知らなかった」という
- これら2つの貸付のことは、(会社サイドが2017年8月30日に公表した)特別調査委員会の報告書で知ったそう
- これら貸付問題の責任は、当時自分が信頼していた側近・根岸良直氏にあり、彼は富士本淳社長と共謀した、との訴えもある
- 貸付先として名前が出ている李堅氏とは、過去に荒井裕樹弁護士の紹介で知り合ったこと、それとこのときオカダホールディングスから18億円を貸し付けたことについては認めている
岡田和生氏の主張
「荒井弁護士から紹介された貸し付けの処理はすべて部下」動かぬ事実1
送金を担当したはずの部下はまだ入社していないこの事例でまずおかしいのは、荒井裕樹弁護士の紹介でオカダホールディングスから18億円を貸し付けた話まで、根岸良直氏が送金していたとしていることです。

岡田和生 公式サイトから
同様のことは、この問題に関連した訴訟の尋問でも話していましたから、岡田和生氏が「送金担当は根岸良直」と主張したいのは間違いないのでしょう。
尋問における岡田和生氏の回答から その1
荒井さんが責任持って契約書を作って、すべて荒井弁護士が処理するならば、私は貸し付けることはOKですということで。これらの書類もすべて根岸が処理しております。
尋問における岡田和生氏の回答から その2
李さんはそのとき公開企業のSJIの代表取締役という名刺を持ってきました。公開企業の代表であるならば、荒井先生が言うこととそれほど一致しないことはないだろうという風に想定して。私は資金使途についてはあまり確認しないで貸し付け、そしてこの貸し付けの処理は根岸がすべておこなっております。
しかし、これはありえない話です。貸し付けの実施日が2013年2月28日であるのに対して、根岸良直氏がユニバーサルエンターテインメントに入社したのは2014年の8月なのですから。送金を担当しようにも担当できるわけがありません。
有価証券報告書から
※2014年=平成26年。
取締役 根岸良直 平成26年8月 当社入社 渉外室付 引用元:2015年3月期 有価証券報告書
岡田和生氏の主張
「根岸良直に口座管理を任せていた」動かぬ事実2
いずれの口座も署名者は岡田和生氏ただひとりなぜ岡田和生氏は、当時まだ入社していなかった部下・根岸良直の名前を出して、彼が送金担当者であると主張してしまったのか? これは氏が、何から何まで部下のせいにしようとしたなかでの「うっかり」だったと考えられます。
ユニバーサルエンターテインメントグループから李堅氏に無断で資金を貸し付けたとされる問題について、岡田和生氏の説明はあくまで「当時知らなかった」です。自らの責任を認める代わりに、公式サイトのなかでは部下の名前を挙げて集中的に非難しています。とにかく「根岸、根岸」と攻めんばかりに。

いずれも岡田和生 公式サイトから
ただ、実態がどうであったかといえば、岡田和生氏の言葉通りではありません。たとえば、
との言葉がありますが、ここでは重要な事実が伏せられています。その事実とは、いずれの銀行口座も当時サイナー(署名者)として登録されていたのは岡田和生氏ただひとりだった、という点です。つまり、氏のサインがなければ外部の銀行口座に送金することは絶対にできなかったのです。
岡田和生氏の説明には、貸付に関連した契約書や稟議書といった各種書面から自身のサインが見つかっていることについて、

岡田和生 公式サイトから
なんて釈明する言葉も見つかりますが、銀行に送金を依頼するための書面は当然事前のサインが必要になりますから、この説明は意味をなしません。
また、このあたりについては別途さらに予防線を張るように、
なんてニュアンスの言葉も見つかるものの、どうでしょう? まるで部下に言われるままだったみたいなそんな言い訳は、果たして通用するでしょうか?
なお、岡田和生氏はいまでこそこうやってあらゆることについて「根岸のせい」としていますが、過去には根岸良直氏を前にして、こんなことも口にしています。
岡田和生氏と元側近の会話
おまえが逃げなかったら、俺はあくまでも仲間という意識で、たいていのことはカバーしたと思う。
この言葉は、ここまでゴタゴタする以前の2017年7月に、岡田和生氏が根岸良直氏と会っていたとき口にしたものです。いまなぜ、こうやって根岸良直氏に集中砲火を浴びせているか、岡田和生氏の考えが透けて見えるとは思いませんか?
岡田和生氏の主張
「会社から李堅氏に貸し付けたことは当時知らなかった」動かぬ事実3
なぜ打ち合わせや契約書の話が本社であったと知っている?問題視されている貸付の話に関して最後に指摘しておきたいのは、岡田和生氏が「当時知らなかった」と釈明しているのはウソでしかないということです。
このことはシンプルに、公式サイトにある説明文のなかから断定できます。該当箇所はこのあたり。

いずれも岡田和生 公式サイトから
貸し付けの話が進められていた当時、どこで打ち合わせや契約書の作成が進められたかという話は、特別調査委員会の報告書に書いてありません。この問題に関連した訴訟のなかで言及されたこともありません。当時の関係者でないと知らないことに言及しているというのは、明らかな矛盾なのです。
岡田和生氏のウソがわかる好例(3)
(強引にでも正当性を訴える)

岡田和生 公式サイトから
この話の概要 ※すべて岡田和生氏の主張に基づく
- 2017年の6月から、岡田和生氏にまつわる疑惑の調査にあたった特別調査委員会を、当の本人が非難している
- 非難の内容は、「なぜ自分から話を聞かないまま報告書を出したのか」といったもの
- 岡田和生氏は当時特別調査委員会のヒアリングに応じる予定だったものの、当日欠席していた
- 岡田和生氏はヒアリングを欠席した理由について、「当日は香港にいたため出席できなかった」と説明している
岡田和生氏の主張
「なぜ自分から話を聞かないまま報告書を出したのか」動かぬ事実
当時は「ヒアリングに応じる必要がなくなった」と表明していた岡田和生氏のウソがわかる格好の事例、その3番目は、「岡田和生氏にかかる疑惑の解明にあたった特別調査委員会が、なぜ当の本人にヒアリングしないまま報告書をまとめたのか?」という話のなかにあります。
本来であれば、何か疑惑めいたことがあったなら、渦中の人物から話を聞くのは当然のことです。では、なぜこの件の調査にあたった人たちは、岡田和生氏からヒアリングをしなかったのか?
この答えは、「要請したが、断られた」です。
岡田和生氏はいま現在、公式サイトのなかで
ヒアリング当日は香港にいたから代わりに別の日を指定していた
といった説明をしていますが、ヒアリングするはずだった当時にはまったく別の説明をしていました。次の資料は、当時岡田和生氏の代理人を務めていた中山達樹弁護士が、特別調査委員会に宛てて送っていたFAXの文面です。真相はここにあります。
当時岡田和生氏の代理人が送ったFAXから
※原文ママ(中略部分をのぞく)岡田和生氏(以下「岡田氏」といいます。)が平成29年8月18日に予定されていた貴委員会によるヒアリングに出席できなかった経緯を改めて申し上げるとともに、今後の貴委員会のご判断の一考として、ご連絡差し上げます。
岡田氏は、今月11日、株式会社ユニバーサルエンターテインメント(以下「UE社」といいます。)の議決権の69%を保有する Okada Holdings Limited 代表者に就任しました。
<<中略>>
いずれにせよ、岡田氏が、早晩、UE社創業者及び筆頭株主代表者のみならず代表取締役として、UE社経営陣を刷新することになります。
<<中略>>
以上のとおりであるため、現状においては、貴委員会のヒアリングに応じる意義が相対的に低減されてしまいました。岡田氏としては、UE社の代表取締役に就任後、貴委員会の調査対象事項につき、追って真摯に協議致したいと考えております。
文面を読めばわかるように、「香港にいた」「別の日を指定していた」なんて話はどこにもありません。あるのは
という見解だけです。
参考までにふれておくと、当初ヒアリングを予定していたのは2017年8月18日で、このFAXが送付されたのは8月23日でした。報告書はこのあと8月30日に公表に至っています。特別調査委員会は、FAXを受け取ってからしばらく熟慮していたのかもしれません。
それにしても岡田和生氏のやり方は解せないものです。結局、氏がユニバーサルエンターテインメントの筆頭株主に返り咲いたなんて話も誤りだったのに、そのことすら無視している。きっと、過去にマスコミの取材にこんな約束をしたこともお忘れなのでしょう。
2017年6月29日の取材から
(株主総会の会場でマスコミから疑惑について問われて)
不正なものではない。特別調査委にはすべて話す