荒井裕樹弁護士はユニバーサルエンターテインメントの「重要人物」

まずは、こんなシチュエーションを想像してください。あなたが200万円を友人に貸したものの、その友人は訳あって50万しか返せなくなったと言います。当然、納得のいかないあなたは、弁護士を雇い、友人に働きかけることにしました。弁護士との契約は、固定報酬が10万円、さらに成果報酬として「経済的利益」の5%を支払うという内容です。さて、このケースで200万円が無事に戻ってきた場合、あなたが弁護士に支払う成果報酬は、いくらだと考えますか?
その請求は妥当か?ある弁護士の"宣戦布告”
冒頭のたとえ話について、おそらく皆さんの答えは、ひとりなら勝ち取れなかった150万円の5%、と考えるのではないでしょうか。しかし、世の中にはさまざまな考えがあるということなのかもしれません。ある弁護士は、200万円の5%を要求するようなのです。

かつての代理人からUE社に請求

経営騒動が明るみになって以来、岡田和生氏とユニバーサルエンターテインメント(UE社)の間で続く対立。この対立がいまだ完全決着には至らないさなか、ここへ横槍を入れる動きがありました。第三者がユニバーサルエンターテインメントに対して訴訟を起こしたのです。当該訴訟に関する第一報は、FACTA 2018年11月号が報じています。

訴訟が提起されたのは2018年7月のことで、原告はウェル・インベストメンツ社なる法人。同社のCEOには、かつてユニバーサルエンターテインメントの代理人を務めていた弁護士、荒井裕樹氏の名前があります。

LinkedInから
『Yuki Arai
Wealth Management K.K. – CEO』
(引用元:Well Investments, Inc. | LinkedIn)

FACTAから
平成24年11月13日
(中略)
​『株式会社ユニバーサルエンターテインメント
上記代理人弁護士 荒井 裕樹』
(引用元:旧アルゼ(ユニバーサル・エンターテインメント)の第一回答)

訴えの内容は、裁判に絡んだ報酬に関するもの。2018年3月に、ユニバーサルエンターテインメントと米国のウィン・リゾーツ社(Wynn)が和解に至った裁判において、十分な報酬が支払われていない、と主張する内容になっています。しかし、その請求根拠に目を向けると首をかしげざるをえません。

まず、ユニバーサルエンターテインメントとウィン・リゾーツが裁判で争っていたのは、こんな内容になります。

  • 2012年にUE社が保有していたWynn株式を、Wynnが強制償還
  • 株式に代えて約19億米ドルの約束手形をUE社に交付
  • 約束手形は10年満期
  • 約束手形には毎年2%の金利を付与
  • 以上の内容をWynnが提示したもののUE社は拒否
  • UE社はWynn株式保有を認めるよう迫り続けた

​つまり、双方が争っていたのは、Wynn株式を19億ドルの約束手形に替えることの是非、というわけです。裁判は2018年まで6年ほど続いたものの、最終的には、ウィン・リゾーツがユニバーサルエンターテインメントに26億3200万米ドルの和解金を支払う、ということで決着しました。和解に伴い、約束手形や株式はすべて破棄されています。

焦点となる、ユニバーサルエンターテインメントと荒井裕樹氏の契約内容にもふれていきましょう。その契約は、こんな内容だったようです。​

  • 荒井裕樹氏はUE社と米国の弁護士をつなぐ、調整役を担う
  • UE社から荒井裕樹氏に毎月600万円の固定報酬を支払う​
  • 別途成功報酬として経済的利益の4%も支払う

では、ここでいう「経済的利益」とは何でしょう? この答えは難しくないと思います。当該裁判は、ユニバーサルエンターテインメントの立場からいえば、

  • 19億ドルの約束手形と、満期までの10年ぶんの利息を受け取ることに甘んじるか
  • Wynn株式の保有を主張し続けるか

​だったのです。これはつまり、19億ドルの約束手形と、満期まで10年ぶんの利息は、ウィン・リゾーツと裁判で争うことなく受け取れるものだったということ。ですから、和解金として受け取った26億3200万米ドルから、19億ドルの約束手形とその利息ぶんを差し引いた金額が、弁護士を雇って裁判を戦ったからこそ得られた「経済的利益」と言えましょう。順を追っていけば、わかりそうなもの……ですが、荒井裕樹氏がユニバーサルエンターテインメントに請求してきた金額は、なんと1億米ドル超。つまり、和解金全額が経済的利益だと言うのです。

​荒井と岡田 両氏の個人的な関係

荒井裕樹氏は、弁護士として知られた存在です。Googleから「荒井裕樹」の単語で検索するとすぐわかるように、青色LED(発光ダイオード)の発明対価をめぐって争われた訴訟において、原告側の代理人として一躍有名になりました。その仕事ぶりが注目されて、TBS系のドキュメンタリー番組「情熱大陸」に取り上げられたこともあります。

Wikipediaから
『荒井 裕樹(あらい ゆうき、1976年8月23日 – )は、日本の弁護士。東京永和法律事務所に在籍中に、升永英俊とともに青色発光ダイオードの中村修二原告側弁護団を担当した。』
(引用元:荒井裕樹 – Wikipedia)

「情熱大陸」の番組紹介から
『「理不尽なことには怒りを感じる。その怒りを、法律というものをとおして理論に変えて表現しているのかもしれません。」彼は静かにこう語る。
弁護士という仕事に真摯に取り組む人間・荒井の姿を追う。』
(引用元:荒井裕樹(弁護士):情熱大陸)

(参考著書)
じつに華やかな歩みではありませんか。しかし、ここで取り上げたいのは、こうした経歴とは異なる側面。荒井裕樹氏と、ユニバーサルエンターテインメントの創業者である岡田和生氏の関係性です。ふたりには、個人的な付き合いがあります。しかも、その付き合いというのは、ユニバーサルエンターテインメントをめぐる経営騒動と強く関わります。渦中にある岡田和生氏に、SJIの創業者である李堅氏を紹介した人物こそ、荒井裕樹氏なのですから。​

ZAITEN 2018年2月号から
『岡田氏と李氏が出会ったのは13年初め頃とみられる。紹介したのは荒井裕樹弁護士だった。』
(引用元:ユニバーサルエンタ「創業者追放に新事実」)

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岡田和生氏が、李堅氏やその周辺と、多額の金銭をやりとりしてきたことは、たびたび述べてきました。

念のためおさらいをしておきますと、はじまりは岡田ファミリーのプライベートカンパニーであるオカダホールディングス(OHL)からSJI香港への貸し付けです。そしてそののち、OHLから李堅氏にも貸し付けをして、やがてユニバーサルエンターテインメントの子会社であるTiger Resort Asia(TRA)を巻き込んでいくことになったのです。この意味では、荒井裕樹氏が引き金を引いたとも言えるわけですが、氏の関与はこれだけにとどまりません。のちに組まれた関連取引の取り決めにも、関わったとされています。

この関連取引というのは、別の記事でもふれた、元本回収のための代替え策です。

ZAITEN 2018年2月号から
『14年10月16日、オカダHDは2通の合意書を交わす。当時、元本回収は1割も進んでいなかった。1通目はSJI香港および「ダイマジン・グローバル」(以下、ダイマジン社)なる香港法人との三者間で交わした「債権譲渡に関する合意書」、2通目はダイマジン社と二者で交わした「代物弁済に関する合意書」である。』
(引用元:ユニバーサルエンタ「創業者追放に新事実」)

荒井裕樹氏が、この代替え策に関わったことは、岡田和生氏も代理人を通じて認めています。​

ZAITEN 2018年2月号から
『岡田氏に質問書を送った。取材に応じた代理人弁護士によると「岡田氏はそもそも(ダイマジン関連の)複雑な取引が理解できず、荒井弁護士と管理本部長に相談して決めたので問題ないと思っていたし、佐戸被告については名前も記憶になく会ったこともない。(調査委が指摘する20億円問題は)荒井弁護士と話して決めたことで、なぜタイガーリゾート社に付け替わったか分からない。(中略)」という。』
(引用元:ユニバーサルエンタ「創業者追放に新事実」)

​代替え策に関わったダイマジン社を率いる佐戸康高氏は、のちにストリーム社の株式をめぐる相場操縦事件で逮捕、起訴されることになる人物です。捜査に関する報道を追っていくと、佐戸康高氏はこの代替え策に関わったときすでに、相場操縦に手を染めていたことがわかります。では、なぜこうした人物が関わることになったのでしょう? 疑われるのは、荒井裕樹氏の人脈です。

代替え策が組まれた当時、荒井裕樹氏はSJI香港の董事(=役員に相当)に就いていました。そしてこのときSJI香港のトップに就いていたのは、親会社にあたるSJIの創業者でもある李堅氏です。

その李堅氏といえば、自身がオーナーだったSJIで架空取引を繰り返していた過去があります。時系列でいえば、この架空取引が終わったのはOHLからSJI香港に貸し付けをする直前のことです。

そしてこの架空取引には、李堅氏に加担した強力なサポーターがいました。キング・テック社と、その代表取締役です。多くの方にとっては、聞き慣れない社名であろうと思います。しかしこのキング・テックこそ、佐戸康高氏につながるキーポイントです。次のリリースをご覧ください。
(クリックで拡大)

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​こちらはリミックスポイント社の株式保有割合に大きな変化があったことを知らせるリリースです。このなかでは、佐戸康高氏率いるダイマジン社が、リミックスポイントの株式保有割合を20%超まで伸ばした一方、キングテックは5%弱まで減らした旨が綴られていました。議決権数に目を向けると、ダイマジン社は3000個の増加、キング・テックは同数減少していますから、両社間で相対取引を実施したものと見られます。

​リミックスポイントを舞台とした動きは、これだけではありません。これより以前の2010年6月にはキング・テックとストリーム社がリミックスポイントへ融資と出資をしていますし、そのあとまもなく2010年9月に佐戸康高氏自身がリミックスポイントに入社、そののち2011年6月には取締役に就いています。この界隈には、相応の結びつきがあると見るのが妥当でしょう。

「空売りレポート」に潜むモノ

​荒井裕樹氏の名は、株式市場でちょっとした話題になったこともあります。2016年ごろのことです。
「企業の実態と株価が大きく乖離しており、足もとの株価水準はかなり割高な状態にある――」こんな見解を示す存在として、注目されたのです。こうした見解は、Well Investments Research(ウェル・インベストメント・リサーチ)が公表するレポートとして出回り、巷では「空売りレポート」と呼ばれました。レポートが指摘するように株価が割高なら、そこには株価の下落余地がある。だとすれば、株式を売った価格より安く買い戻すことで利益になる「空売り」のチャンスが見出だせる、というわけです。

ウェル・インベストメント・リサーチが空売りレポートを出したのは順に、丸紅、ジグソー、サイバーダイン、SMC、ユーグレナ、アエリアというラインナップ。各社の株価は、レポートの公表を素直に反映するような動きになるケースがあった一方、株価の下落はレポート公表直後に限られたケースもあり、結果としてはまちまちといったところでした。

気になるのは、レポートに綴られた文言です。SMCのレポートを公表したときから、免責条項として次の注意書きが記されました。

Well Investments Researchのレポートから
『本書の発行日現在において、Well Investments Research、及び我々の顧客及び/又は投資家は、本書で言及されている銘柄の株式(及び/又はオプション、スワップ及びその他の当該銘柄の株式に関するデリバティブ)を空売りしている可能性があること、従って、当該銘柄又はカバー取引銘柄の株式、又はオプションの価格の上昇又は下落により、相当な利益が実現する可能性があることに留意されたい。我々は、本書で言及された会社の証券を継続的に取引する可能性があり、本書に記載された我々の当初の見解に関わらず、我々は同発行体についての取引ポジションを、買い、売り、カバー取引又はポジションの形式又は実質の変更を行う可能性がある。』
(引用元:SMC (6273): 会計神話をパンクさせよ)

これはつまり、レポートで取り扱った各社の株式について、ウェル・インベストメンツ・リサーチがすでに空売り済みであることを示唆しているわけです。

気になる点は、もうひとつあります。それは、ユニバーサルエンターテインメントとの共通点です。

下記の記事では、「Credit Suisse Securities」(CSS)の名義で、長きにわたってユニバーサルエンターテインメントの株式に空売りを仕掛け続ける存在がいることにふれました。一連の経営騒動がはじまってまもないころから空売り残高報告にCSSの名前が出てきて、2018年12月の時点においてもなお、このCSSの名義人は空売りを続けている。こんなお話でした。ユニバーサルエンターテインメントと空売りレポートに奇妙な一致を見出だせるのが、この点です。

【話題】株価を用いた「テロ」という可能性
ユニバーサルエンターテインメントの株価は、2018年3月に6000円をオーバーしたものの、以降は低迷、下落が続き、2018年12月には3000円すら下回りました。実に50%以上の下落。この背景には、ある疑惑の可能性があります。

ウェル・インベストメンツ・リサーチがレポートで取り上げた各社の空売り残高報告を確認すると、ジグソー、サイバーダイン、SMC、ユーグレナ、アエリアの空売り残高報告においても、ユニバーサルエンターテインメントと同じCSSの名前が見つかるのです。SMCを例に挙げると、CSSの名前が空売り残高報告に出たのは、レポート公表の1ヶ月半ほど前。そしてレポート公表直後の2016年12月14日には空売りを大きく買い戻したことでそのポジションが減少して、この日、報告対象外になりました。なかなか興味深くはありませんか? これが単なる偶然の一致だという可能性は大いにあります。しかし、見過ごせない事実ではないでしょうか。証券売買において「いま何が起きているのか」というのはわかりにくく、詳しい状況というのはあとになってようやくわかるものなのですから。

レポート公表当時の反応はこちら

空売り系調査会社のウェル・インベストメンツ・リサーチ、得意の怪文書風レポートで空圧制御機器大手のSMCを狙い撃ち : 市況かぶ全力2階建
ジグソー サイバーダインの次は SMCか— Virtual Trader (@__praxeology__) 2016年12月12日時価総額5000億円が通過点のJIG-SAW(ジグソー)、道半ばで目の覚めるような“怪文書風”レポートが道塞ぐ — 全力2階建 (@kabumatome) 2016年6月2日空売

氏の存在なくして、経営騒動は語れない​

ここまで並べてきた事実の数々が何を指し示すかといえば、荒井裕樹氏が折にふれて重要な局面に関わってきたという現実や可能性だと言えます。「荒井裕樹という存在なくして、一連の経営騒動を語ることはできない」。これもまた、疑いようのない事実なのではないでしょうか。

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【国産黒毛和牛使用】【牛鍋処 荒井屋】特製牛佃煮5ヶ入


ひこうき雲 [ 荒井由実 ]


フランス人ママン 「強く生きる子」を育てる75の言葉 [ 荒井 好子 ]


老眼は治ります。 老眼鏡不要の快適生活を送るために [ 荒井宏幸 ]


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