オカダホールディングスを巡る香港での動き

不正の嫌疑をかけられてユニバーサルエンターテインメント(UEC)を追い出された格好になった岡田和生氏は、オカダホールディングス(OHL)の実権を取り返すべくあらゆる手を講じようとしています。自身の長女である裕実氏に接触して、彼女を味方につけたこともそのひとつです。こうした動きは、何も日本国内に限った話ではありません。OHLの所在地である香港でも、さまざまな展開があります。このあたりについては、日本で報じられることがほとんどないために、あまり知られていないかもしれません。

オカダホールディングスを巡る香港での動き

岡田和生氏サイドは香港で立て続けに攻勢 しかし……

香港においては、岡田和生氏が裕実氏を自分の味方につけたあとまもなく、OHLの臨時株主総会を開き、当局に書類を提出したと主張しています。自らの持つOHL株式と、裕実氏の持つOHL株式を合わせれば、名目上は過半数の議決権を確保したことになるわけで、これをもとにOHLの代表復帰手続きを進めたということでしょう。

『岡田HDは今月初めに臨時株主総会を開き、和生氏の代表復帰を決めるとともに、香港の登記局に書類を提出した。』
(引用元:EXCLUSIVE-ユニバーサル元会長、HDの代表復帰を宣言)

『中山弁護士によると、翌8日、Okada Holdings Limitedの臨時株主総会が開かれ、岡田和生氏が同社の代表であることを確認したという。』
(引用元:ユニバーサル創業者・岡田和生氏が記者会見「クーデターが起きた」)

年が明けて2018年になってからも、岡田和生氏サイドの動きは続きました。代表例を挙げるだけでも、

    • 父親サイドについた裕実氏が、以前に兄の知裕氏と結んだ信託契約が無効であるとして訴訟を提起
親人在港互告 爭公司話事權 彈珠大王家變 遭子踢出董事局
永利度假村主要股東兼永利澳門前非執董、有「日本彈珠機大王」之稱的岡田和生(Kazuo Okada),五年前遭踢出永利董事局,近月其家族在港註冊公司岡田控股爆發「港版糖心風暴」,他與兒子(Tomohiro)爭奪公司的控制權。兒子先出招令胞妹(Hiromi)將名下股權轉讓給他,令其持股量增至五成三並...
    • 同じく裕実氏が、自身の保有株式を騙し取られたとして知裕氏などを相手取って刑事告訴
【日版溏心風暴】日本彈珠大王女兒來港報警 控兄騙14億公司股權
永利度假村主要股東兼永利澳門前非執董、「日本彈珠機大王」岡田和生在港註冊的家族公司爆發真人版《溏心風暴》,兒子岡田知裕出招令胞妹岡田裕美將名下股權無條件轉給他,自己持股量增至五成三享「話事權」後,...
    • 岡田和生氏がOHLの取締役に復帰する旨の申請を、当局によって拒否されたことについて、高等裁判所の介入を求めた

​といったものがあります。しかし、いずれの手立ても、岡田和生氏が望むような成果には結びついていません。

2018年6月には、OHLの取締役について変更を申請した形跡が見られたものの、しばらくして消失しています。

こうしたなか、2018年9月には香港当局から注目に値する見解が出ました。あの手この手でOHLの取締役の変更を迫る岡田和生氏に対して、当局はこの件について、日本の法律が関わるために、自分たちには決定権がないとの見方を示したのです。このことを伝えた現地の記事が、こちらになります。

拒更新岡田和生董事身份 公司註冊處稱涉日本法律
日本「彈珠機大王」岡田和生(Kazuo Okada)去年被兒子岡田知裕(Tomohiro Okada)踢出香港註冊的家族公司岡田控股有限公司的董事局,其後獲女兒岡田裕美(Hiromi Okada)贈股相助,議決踢走知裕委任的兩名新董事,並恢復自己的董事身份。但他指公司註冊處拒絕登記此最新變動,因此在今年5月向高院申請司...

では、ここでいう「日本の法律」とは何でしょう? その答えは、記事を読み解いていくと見つかります。該当する箇所は、このあたり。

『處方指出,此案涉及裕美先後將其股份轉讓予知裕,其後又收回改為授權父親和生行使其股權,其決定是否具法律效力,更涉及日本法律,處方根本無法代為決定。』
(引用元:拒更新岡田和生董事身份 公司註冊處稱涉日本法律)

翻訳ツールを頼りにした意訳になりますが、文中では、裕実氏と知裕氏がずっと以前に結んだ信託契約のことと、そのあと裕実氏が父親サイドについたことを取り上げて、「その決定に法的効力があるかどうか、日本の法律と関連するため、当局は決定できない」と結んでいます。

つまり、日本で交わした信託契約があるのだから、その効力について日本の法律で白黒つけないと、自分たちも決定は下せない、というのが香港当局としての見解なのだと受け取れます。記事の終わりには、

『法官決定押後另定日期宣判。』
(引用元:拒更新岡田和生董事身份 公司註冊處稱涉日本法律)

とあり、結局こうした見解から、取締役変更に関する判断は先送りされることになったようです。

一部の人が「ある裁判」に注意するその理由とは

さて、ここからは余談になります。……といっても、一部の方にとっては知っておくべきこと、になるかもしれません。

そもそも、なぜ岡田和生氏がこれほどまでにOHLの実権にこだわっているかといえば、それすなわちUECの支配権も握ることにつながるから、でした。こういった支配権の移動が実現した場合、「カジノをあと3つは作りたい」と公言する氏にとっては、野心の実現に向けた足がかりになるかもしれません。その一方、UECとしては経営の混乱につながる可能性を秘めています。ご存知の方も少なくないでしょう。2018年初頭に起きた、米国ウィン・リゾーツ社の騒動を。あの件では、創業者であり、当時最高経営責任者であったスティーブ・ウィン氏にセクハラ疑惑が持ち上がりました。その結果、ウィン・リゾーツがカジノ運営会社として適切なのか、各国当局がその調査に乗り出すような騒ぎになり、株価にまで影響が及びました。

米ウィン・リゾーツ株が急落-マカオ当局が会長のセクハラ疑惑を調査
米カジノ運営会社ウィン・リゾーツのスティーブ・ウィン会長を巡るセクハラ疑惑は、遠く離れたマカオにまで波紋が広がり、同社にとって頭痛の種となっている。

結局、ウィン・リゾーツのケースではスティーブ・ウィン氏が身を引く形で決着したものの、UECの支配権を岡田和生氏が取り戻すことになれば、こうした混乱の二の舞になる展開が考えられます。氏にはさまざまな不正疑惑がかけられているのですから。

【導入2】岡田和生氏に疑惑 会社に断りなく多額の送金を指示か
ユニバーサルエンターテインメントの特別調査委員会による調査のなかで不正行為と認められたのは合計3件で、いずれの件でも岡田和生氏が関係各社を通じて、自己の利得を上げたと指摘しています。
送金先から浮き彫りになる不気味な人脈 ​
貸付先になった李堅氏と、岡田和生氏。ふたりの足跡をたどっていくと、おかしな人脈が浮き彫りになります。
公文書を巡る不可解 岡田和生氏周辺が関与?
ユニバーサルエンターテインメントの関係会社 TIGER RESORT, LEISURE AND ENTERTAINMENT INC.(TRLEI)が、現地のフィリピンで岡田和生氏を告発した件では、不可解な事態が確認されています。

下記の記事について、6425:ユニバーサルエンターテインメント株式に注目する一部の投資家の方が関心を持っているのも、このあたりと関係があるのでしょう。日本で係争中の裁判が、OHLの議決権争いに終止符を打ち、その結果秩序、あるいは混乱をもたらす――そんな可能性がある。……となれば注目せざるをえない、というわけです。

続・オカダホールディングスを巡る議決権争い
オカダホールディングスの実権を巡って続く、岡田和生氏と、長男・知裕氏の対立構図。この膠着を打開すると見込まれる、ある裁判があります。

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