またも岡田和生氏にまつわる「カネの疑惑」が浮かび上がる格好になりました。当サイトが注目するのは、オカダマニラを力ずくで占拠した岡田和生グループの主要人物として名前のあがったDindo Espeleta(ディンド・エスペラータ)氏と、彼が過去に岡田和生氏個人から3億フィリピンペソもの資金を受け取った事実です。ふたりの間には、人知れぬ何かしらのつながりがあると考えられます。
「裏金」の存在を明るみしたのは香港の訴訟
問題の資金は、香港の訴訟を通じて明らかになったものです。岡田和生氏は、この訴訟で、ユニバーサルエンターテインメントグループの資金を横領した疑惑について追及されるなか、自分の銀行口座の取引記録を明かさねばならなくなったのです。
まずは、裁判所が開示した次の書面をご覧ください。
問題の資金は、こんな言及からはじまります。
he says that in the months of September and October 2016, multiple transactions took place and a total sum of ₱750,505,000 was wired out;
意訳:彼(=岡田和生氏のこと)は、2016年9月から10月にかけて、複数回の取引があって、総額750,505,000フィリピンペソを送金したと話す。
続いて、5つある送金先のうち、3つについて岡田和生氏が説明するなかで、渦中のディンド・エスペラータ氏の名前も上がります。
“ … Laurence Hawke, Transasia Construction Development Corporation and Dindo Espeleta[9] were all parties related to either Okada Manila or Tiger Resort Asia.
意訳:ローレンス・ホーク、トランスアジアコンストラクションデベロップメントコーポレーション、ディンド・エスペラータは、いずれもオカダマニラまたはTiger Resort Asia(※)の関係者であった。
※文中には「Tiger Resort Asia」とあるものの、厳密にはフィリピンでオカダマニラの運営に関わる法人・Tiger Resort Leisure and Entertainmentのことを指すと理解したほうが実態に近い。事実、ユニバーサルエンターテインメントに問い合わせたところ、ディンド・エスペラータ氏については「Tiger Resort Leisure and Entertainmentで建設部門のアドバイザーを務めていた」との回答を得ている。
Dindo Espeleta was Tiger Resort’s Chief Executive Advisor.
意訳:ディンド・エスペラータは、Tiger Resort社のチーフ・エグゼクティブ・アドバイザーだった。
そして次に挙げるのが、ここで名前の出た3者それぞれに送った金額を記した注釈[9]の項目です。
Who were said to have on 30 September 2016, 25 October 2016 and 27 October 2016 received ₱300,000, ₱450,000,000 and ₱300,000,000 respectively.
意訳:2016年9月30日、2016年10月25日、2016年10月27日に、それぞれ300,000フィリピンペソ、450,000,000フィリピンペソ、300,000,000フィリピンペソを受け取ったとされる人物。
注釈[9]のついた前段では、3番目に「Dindo Espelet」の名前が出ていますから、この文面はつまり、「2016年10月27日に岡田和生からディンド・エスペラータに3億フィリピンペソを支払った」と伝えているわけです。
もっとも、お伝えしたいのはこんな話ではありません。もともと岡田和生氏からディンド・エスペラータ氏に3億フィリピンペソの資金が渡っていた事実は、過去にも当サイトで指摘していたことですし。
岡田和生氏個人の銀行口座取引記録から判明した事実、そのすべてを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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【情報メモ】香港の法廷で暴かれつつある「岡田和生の使い込み」全容
香港の法廷で、いまなお続く訴訟。このなかで、これまでにわかっていること、はっきりしていることをここにまとめました。 ここで取り上げる訴訟の概要 訴訟提起の日付 管轄の裁判所 2017年12月27日 香 ...
ここでお知らせしたいのは、この話には続きがあった、ということです。
「Dindo Espeleta」なる人物の素性
岡田和生グループの主要人物として名前の上がったDindo Espeleta(ディンド・エスペラータ)氏について、当サイトで調べを進めていたところ、以下の事実をつかんでいます。
Dindo Espeleta氏にまつわる事実
- 彼はTRANS ASIA CONSTRUCTION DEVELOPMENT社の人間
- 役職はCorporate Secretary(※)およびChief Operating Officer(最高執行責任者)
- TRANS ASIA CONSTRUCTION DEVELOPMENT社はオカダマニラの機械・電気・配管・防火工事を請け負った建設業者
- 業者としては発注者から直接施工を請け負った「元請け」
- 2018年ごろから同社は、オカダマニラの建設に従事した3000人超の下請け労働者たちとトラブルになっている
- 労働者たちの主張によれば、オカダマニラの建設に関連して、同社による「違法な解雇」「給与の不払い」などがあったという
- また、オカダマニラの米国上場に関連した書面では、TRANS ASIA CONSTRUCTION DEVELOPMENT社がユニバーサルエンターテインメントグループをフィリピンで刑事告訴していたことも確認できている
※「Corporate Secretary」とは、オフィシャル文書を作成したり、文書に署名する立場の役職を指す。
COO and owner of Transasia Construction Dev’t Corporation. One of the contractors for the Okada Manila property. Hard to find infor about TCDC online
— admuxlakersfan (@admuxlakersfan) June 8, 2022
これは、とんだスキャンダルにつながる可能性を秘めた事実だと言えます。なぜなら、TRANS ASIA CONSTRUCTION DEVELOPMENT社といえば、先に挙げた文書のなかで、「2016年9月から10月にかけて、岡田和生氏が総額7億5050万5000フィリピンペソを送金した」取引先のひとつとして出てきており、同社には「2016年10月25日に4億5000万フィリピンペソが渡った」ことがわかっているのですから。
つまり、これまで判明している事実を整理すると、TRANS ASIA CONSTRUCTION DEVELOPMENT社の周辺には、わずか3日間で、都合2回、合計7億5000万フィリピンペソ(=当時のレートだとおよそ17億円超)もの資金が流れ込んでいる――こんな実態が浮き彫りになるわけです。
当の岡田和生氏は、これらの送金について、「オカダマニラに関連して支払ったものだった」と香港の訴訟で説明しています。
As I set out in paragraph 8 of [D1/Aff6], some of these payments were made to employees, contractors and personnel under the casino project carried out by [P] (i.e. the construction and operation of Okada Manila in the Philippines).
意訳:これらの支払い(=総額750,505,000フィリピンペソ)の一部は、[P](=ユニバーサルエンターテインメントグループのこと)が進めたカジノプロジェクト(すなわち、フィリピンにおけるOkada Manilaの建設及び運営)の従業員、契約者及び担当者に対して行われたものである。
しかし、これはおかしな釈明と言わざるをえません。
本来、事業に関連する支払いであれば、それは当然、会社の口座から支払います。ましてや、岡田和生氏がここで送った資金は、氏がユニバーサルエンターテインメントグループから横領したと見られている資金の一部なのです。そんな資金を、岡田和生氏のいうカジノプロジェクト――すなわちフィリピンの事業に関連した正規の支払いとして関係者に送金することなどあるでしょうか? ありえません。状況証拠からいって、資金の実態は「表に出せないカネ」と見るのが妥当でしょう。
なお、岡田和生氏が資金の説明に添えている
I confirm that these various third parties are not acting as my nominees.
意訳:私は、これらのさまざまな第三者が、私の名義人として行動していないことを確認します。
との一文は、自分に代わって動く「名目上の人物」=「nominee(=ノミニー)」がいるわけではない、そういうことのために使った資金ではない、とことわっておくためのものと考えられます。現地のフィリピンでは、ノミニー制度を悪用して、たとえば自分の代わりに第三者を会社の株主や取締役として登録していたりした場合、重大な法律違反になりかねません。おそらくは、ここでそういった疑念を打ち消しておきたいのでしょう。
法律事務所のウェブサイトから
外資規制を潜脱するために、①フィリピン人から名義を借りること、②外資規制に違反していないように装うこと、③手段の如何を問わずフィリピン人に認められた権利等の外国人への実質的な移転、使用許可、取締役若しくは従業員を通じた支配権への関与を認めることが禁止されており、違反した場合には、懲役及び罰金刑に加え、同法の違反により得た資産、事業も没収することができると規定されています
思えば、フィリピンのプロジェクトではたびたび「岡田和生とカネ」の問題が取り沙汰されてきました。
さて、このたび取り上げた7億フィリピンペソ超の資金は、どんな事実を秘めていて、どんな展開を巻き起こすのでしょう? フィリピンのマスコミの皆さんにも、調査に動いていただきたいものです。
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