遊技機メーカーとして知られるユニバーサルエンターテインメント社と、その創業者である岡田和生氏に関わる一連のトピックを追いかけております。 ​

ユニバーサルエンターテインメントの経営騒動に潜む闇

ここまでを振り返る

岡田和生氏に見る「品格なき経営者」の危険性

ユニバーサルエンターテインメントで起きた問題を振り返ってみたとき、つくづく感じることがあります。それは、経営者には一定の倫理観が欠かせない、という事実です。岡田和生氏の所作は、とてもよいサンプルだと言えます。……あくまで、反面教師として、ですが。

[Question]
「大株主が経営をしていれば安心」は真実か

ユニバーサルエンターテインメントから創業者の岡田和生氏が追放されてまもないころの話です。投資家向け雑誌・ダイヤモンドZAiに、ユニバーサルエンターテインメントと岡田和生氏に関連して、こんな主張をつづった記事が載りました。

少なくとも、大株主が経営していれば、自分の保身だけを考えるサラリーマン経営者とは異なって、会社の資産を減らす行動はとらないはずで、一般株主としても安心できる

ダイヤモンドZAi 2017年12月号 闇株新聞

ダイヤモンドZAi 2017年12月号 闇株新聞

この主張は、ユニバーサルエンターテインメントが岡田和生氏の追放を決めたことについて、記事のなかでさんざん批判したあとの締めくくりとして出てきたものでした。要は、「岡田和生の排除」という決定が、間違ったことだと言いたいようです。

記事には根拠なき批判が並んだ


ダイヤモンドZAi 2017年12月号 闇株新聞

ダイヤモンドZAi 2017年12月号 「闇株新聞」から

「大株主が経営していれば、安心できる」。こう書き手が主張するロジックはわからないわけでもありませんが、話はそう単純ではありません。ユニバーサルエンターテインメントで起きたことは、むしろ岡田和生氏のような大株主が経営に関与していたからこそ起きたことなのですから。

経営者が自社の株式を持って、株主も兼ねること、それ自体は悪くない話です。株主として会社(の一部)を所有する立場になれば、企業価値の増大と、それに伴って生じる株価上昇が、その人個人にとっての利益にもなります。

経営者が手にする報酬の相関

したがって、経営者が自社の株主も兼ねている場合、「経営に携わる者として、たしかな成果を出す」という責任感やインセンティブ効果を期待しやすくなると言えましょう。そしてその結果、ほかの株主にも利益をもたらしたり、従業員の雇用安定化につながったりするのなら、じつに好ましいことです。

ただし、こうした考え方には注意を要します。経営者が自社の株式を持っているといっても、特定の経営者に大半の株式が集中しているような場合は、事情が異なってくるのです。ユニバーサルエンターテインメントは、まさにこのパターンでした。

ユニバーサルエンターテインメントの株式は岡田一族の会社が68%を保有


ユニバーサルエンターテインメントの株式保有割合
【導入3】オカダホールディングスを巡る議決権争い

ユニバーサルエンターテインメント(UE社)の経営云々を語る上で重要なポイントが、その株主構成にあります。同社の発行する全 ...

こちらの記事では、ユニバーサルエンターテインメントが発行した株式のうち、7割近くを保有する法人・オカダホールディングスについて解説しています。岡田和生氏は、このオカダホールディングスの代表者として、ユニバーサルエンターテインメントを支配していました。

特定の経営者に大半の株式が集中していると、その経営者の立場は盤石なものになります。なぜなら、株式会社では「株主が経営者を選任し、会社の経営を委託する」仕組みになっているためです。この仕組みによって、大半の株式を持った経営者というのは、「自分の手で自分を選任」できるので、クビになるリスクはほとんどありません。極端な話、自分以外の株主が異論を持ったところで、それらは大概スルーできます。ある種、「王様のような地位にある」といってもよいかもしれません。

盤石な体制にある経営者が、職務に集中し、会社のために邁進するのなら、とくに問題はありません。しかし、そうなるとは限らないというのが現実です。「大株主が経営しているから安心」と言い切れない理由は、ここにあります。

こうしたケースでどんな問題が起こりうるかといえば、それは経営者による「会社の私物化」「公私混同」です。会社を自分のモノだと勘違いした経営者が、会社のさまざまなリソースを自己の利得のために使うのです。ユニバーサルエンターテインメントグループのなかでは、実際に岡田和生氏がこの手のことをやっていました。

実際に岡田和生氏は、会社が自分の物だと断言している


岡田和生の問題発言
岡田和生の「化けの皮」(1)

一代にして自分の会社を大きくしたという事実。自己の資産を数千億円にまで積み上げた実績。こういった結果だけ見れば、岡田和生 ...

こちらの記事では、岡田和生氏が人目につかないところでどんな発言をしていたか、取り上げました。氏は、法律で定められたルールを何とも思っていないようです。

岡田和生氏による会社の私物化 その一例

  • プライベートな分野で銀行融資を受けるにあたって、会社に担保と手数料を負担させた
  • 社内の正式な手続きを経ないまま、デタラメな名目で会社から報酬をせしめた

岡田和生氏による会社の私物化行為は多数ある


岡田和生氏はどんな問題を起こしていたのか

ユニバーサルエンターテインメントと、その創業者・岡田和生氏。会社の経営に関連してはじまった両者の対立は、2020年になっ ...

こちらの記事では、岡田和生氏がユニバーサルエンターテインメントグループでどんな問題行為をしていたか、まとめました。

当の岡田和生氏は、こうした自身の行いについて、ある訴訟のなかで「自分は実質的にユニバーサルエンターテインメントの大株主なのであり、そこから利益を享受する立場でもあるのだから、会社にとって損失になるようなことをするはずがない」といったニュアンスの抗弁で否定していましたが、これは詭弁にすぎません。

本来、会社の財産は、株主全員のものです。たとえ0.01%でもその会社の株式を持っているのなら、会社の財産0.01%ぶんは、その人に権利があります。それなのに、岡田和生氏はひとり抜け駆けして、会社の財産を自分のポケットに入れていたのです。氏のポケットに入ったぶんを、誰が実質的に負担しているかといえば、岡田和生氏以外の少数株主たちです。「自分も被害者になる」と強調するような岡田和生氏の論理は、まったく成り立ちません。

何が人をこういった私物化行為に走らせるのかといえば、ひとつは手っ取り早さにあるのでしょう。株主の立場で利益を享受するなら、会社がたしかな成果を出すまで、じっくり待たなければなりません。企業価値は一朝一夕で高まるものではありませんから。配当金を受け取るにしたって、そこは会社の業績次第ということもあります。その反面、この手の私物化行為は、言ってしまえばこっそり会社の財布から抜き取るだけです。ささっとポケットを満たせるのです。

[Question]
「岡田和生会長」健在なら、どんな事態になっていたか

いくら私欲の強い経営者であっても、会社そのものが傾くほどのことをするわけはないから、会社に及ぶ実害は限られる。こんなふうに考える方もいるでしょうか。だとしたら、それは誤解です。倫理観の欠如した経営者がもたらす悪影響を、甘く見ています。岡田和生氏のような存在は、ときに会社そのものをリスクにさらすものです。

実際、ユニバーサルエンターテインメントのケースでは、象徴的な出来事がありました。2018年8月のある日に、岡田和生氏の「逮捕」という話が出回ると、途端に日本の株式市場で同社の株価が急落したのです。

2018年の夏に、香港の捜査当局・ICACが岡田和生氏を逮捕した

このとき、すでに岡田和生氏はユニバーサルエンターテインメントグループから追放されていましたし、同社の株主としても権利を行使できない立場にありました。したがって、振り返ってみれば、市場の反応は過剰なものだったと言えます。

しかし、もし仮に、氏がユニバーサルエンターテインメントの会長職に就く立場で、同じシチュエーションに置かれていたら、どうでしょう? 市場の反応は過剰なものと言えないどころか、むしろ妥当だった可能性さえあります。

もし、岡田和生氏が会社に在籍するなかで、この手の不祥事が公になった場合、どうなるか? まず間違いなく避けられないのは、カジノを擁するリゾート施設・オカダマニラの事業者として、ユニバーサルエンターテインメントグループが適格かどうか、疑惑の対象になることです。

カジノを取り仕切る規制当局は犯罪行為にシビアであり、問題のある人物や事業者がカジノに関わることを認めていません。規制当局が、岡田和生氏やユニバーサルエンターテインメントグループの調査に動くのは当然として、その調査の結果、事業認可を取り消すこともありえたでしょう。カジノ事業というのは、一度認可されたらずっとそのまま、という類のものではありません。実際、オカダマニラのあるフィリピンと同様に、カジノの営業を認めているオーストラリアでは、規制当局から問題のあった事業者に対して、認可取り消しの判断が出たケースもありました。

仮に、規制当局から認可を取り消された場合、事態はさらに深刻になります。ユニバーサルエンターテインメントグループの事業計画は根本から覆るだけでなく、これまでオカダマニラに投じてきた莫大な資金が、事業収益から回収できなくなるのですから。調達してきた資金の返済原資はどうなるのか? こうした不祥事があっても、融資に応じる金融機関はあるのか? さまざまな問題が噴出したことでしょう。最悪のシナリオでは、運転資金難から会社が行き詰まるようなこともあったはずです。

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