
2021年3月30日に開催したユニバーサルエンターテインメントの株主総会は、次のような内容でした。
国内外の事業などに関する説明
2020年12月期は、あらゆる分野で新型コロナウイルスの影響があったとのことです。
国内遊技機事業
- パチスロ4機種、パチンコ3機種を投入した結果、販売台数は合計13万9000台
- 新型コロナウイルス感染拡大の影響で旧規則機の撤去スケジュールが先延ばしに
- パチンコホールでは感染症の影響により営業活動の自粛があった
- 投入したパチスロ機種の多くは販売台数が当初の計画を上回った
- パチスロについては総販売台数でトップシェアを確保
- 感染症の終息が見通せないため、2021年12月期もパチンコホールは慎重に動くと見ている
- 2021年12月期はカプコンとの協業作「パチスロバイオハザード7」などの投入を開始
フィリピンのリゾート施設・オカダマニラ
- フィリピンの経済は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた
- フィリピンの2020年の経済成長率は前年比で9.5%のマイナス
- 2020年3月15日にフィリピン政府は緊急事態宣言を発令
- 公共サービスと日用品以外の産業はすべて停止、外出制限の実施もあった
- オカダマニラではコスト抑制のため、全従業員のうち20%を解雇
- 役員を含むエグゼクティブの給与も20~30%カット
- コストコントロールの一環で「ノーワーク・ノーペイ」のルールを徹底
- 2020年9月から政府による規制が緩和されたため、営業を再開
- 施設内は徹底的な衛生管理体制を整えている
- 来訪者に検温、消毒、除菌を実施
- 来訪者はマスクとフェイスシールドの着用を必須としている
- ホテルの宿泊者には施設内で抗体テストの実施をお願いしている
- 施設内は消毒・除菌をするためのロボットが巡回
- 施設内にクリニックを完備、病院と連携もしている
- 2020年のカジノ事業は売上が前年比で60%減になった
- マカオのカジノが前年比で80%の売上減になったのと比較すれば、オカダマニラは底堅い
- 2020年12月単月で見ると、スロットの稼働は規制下で30%までしか許可されていないのに、プレイヤー数は前年比44%減にとどまっている
- 2020年内に建設を終える予定だった各種設備は規制の影響で繰り延べたが、2021年内に完工する見込み
訴訟関連
- 東京地方裁判所で岡田和生氏と争っていた損害賠償請求訴訟において勝訴
- 上記の判決について岡田和生氏が控訴したものの、東京高等裁判所は棄却した
- 特許権の侵害があったとして岡田和生氏らを追及している損害賠償請求訴訟については係属中
刑事
- フィリピンの裁判所が岡田和生氏に宛てて出した逮捕状については引き続き有効
- 今後も捜査当局に協力していく
株主総会出席者による質問への回答
株主総会で出た質問については、主に富士本淳社長が回答しました。
Q.定款の一部変更によって優先株式を発行できるようにする件について
- 優先株式を発行することについて現状、具体的なプランがあるわけではない
- 必要な資金を手当てするための選択肢として持っておくもの
- 資金を確保しようとする過程で選択肢が限られていると、弱い交渉を強いられかねない
Q.東証がプライム市場を新設することについて
- (自社の上場する市場がどこになるかは)東証が最終的に決めること
- 自社の方針については我々の親会社にあたるオカダホールディングスと相談して決める
東証のプライム市場とは?
Q.2021年のオカダマニラ、その見通しは
- 新型コロナウイルス感染症がどう終息していくか、はっきり申し上げられる状況にない
- 2020年は1年を平均してみると、だいたい25%くらいしか営業できなかった
- しかし75%が稼働していなかった割に、売上は75%落ちていたわけではない
- 直近の年末年始を見る限り、前年同期比で50%以上の売上が確保できていた
- ゆえに2021年は(2019年比で)50%以上の売上になるのではなかろうか
- 売上が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に戻るのは2022年以降と見ている
- フィリピンでは新型コロナウイルス感染症が再拡大
- 2021年4月27日から政府が再び規制強化に動いたため、オカダマニラではコストコントロールの方策をとっている
- 認可当局と相談して、ジャンケット業務、VIP業務、それとこれに関連するビデオストリーミングについて営業許可をとっている
※後半3つの回答については、現地のフィリピンにいる徳田一取締役からのもの。
Q.会社が抱える訴訟の見通しについて
- 岡田和生氏から会社側に提起した訴訟は数多くあるものの、それらの主張は重複したものが多い
- 主だったものが決着すれば、それらもほとんど終わると見ている
- 最高裁まで進んでいるぶんは2021年内にも決着する見通し
- 一方で、会社側から岡田和生氏に提起した訴訟は残る
- しかし、会社側から提起した訴訟の多くは、費用が小さく済む弁護士契約になっている
- だから訴訟費用はこれまでほど高額にならないと見ている
- ただし訴訟のことなのですべては断定できない
岡田和生氏とユニバーサルエンターテインメントに関連した訴訟については、下記の記事をご覧ください。
ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、日本国内で起きた訴訟をまとめました。なお、ここに掲載中の訴訟は、ユニバーサルエンターテインメントにおいて経営騒動が表面化してから提起されたも ... ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、香港で起きた訴訟をここにまとめました。なお、掲載した情報は、現地の報道や開示書面、別件の訴訟のなかで明かされた話などをもとにしています。 相 ... ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、フィリピンで起きた訴訟をまとめたものです。なお、ここに掲載した情報は、現地の報道や、その他の国のメディアが報じた話をもとにしています。 &n ... この記事は、ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、米国およびマカオと韓国で起きた訴訟をまとめたものです。これら3カ国で起きた訴訟は数が限られるため、ひとつの記事にまとめました。な ...
【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【日本】
【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【香港】
【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【フィリピン】
【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【米国とマカオと韓国】
Q.SPACを用いた米国証券取引所への上場について
- 上場の手続きについてはSPAC最有力大手数社から話をもらっている
- 我々が(合併相手を)選ぶ側に回れたというのは大きい
- ここから重要なのは(オカダマニラがの事業が)いくらの事業価値と見なされるのか、ということ
- 事業価値に関する話し合いと合意が最大の山場になる
- 合意さえすれば2021年内に公開までたどりつける、そんなスピード感で見ている
- ただし相手のあることなので「いつ何時こうなる」とは断定できない
SPACを用いた上場とは?
「SPAC」とは、Special Purpose Acqusition Companyの頭文字をとった略称。日本語になおすと「特別買収目的会社」となる。SPACは未上場の企業を買収、あるいは未上場企業と合併することを目的としており、未上場企業にとっては、上場手続きの済んだSPACと一緒になることで、簡素な手続きでスピーディーに上場を果たせるというところがメリット。オカダマニラの運営会社(ユニバーサルエンターテインメントの孫会社・Tiger Resort Leisure & Entertainment)は、この仕組みを用いて米国の証券取引所に上場できないか、検討中にある。
なお、3月30日の株主総会当日、岡田和生氏は姿を見せていません。当日の会場は静かな雰囲気で、2018年の株主総会で起きたいざこざがまるでウソだったかのようでした。
過去の株主総会について振り返りたい場合は、下記の記事をご覧ください。
テクノロジーの進化に伴い、情報の伝達手段は多様化してきました。今やインターネットは、世界中の人にとって当たり前のもの。個人個人が日々パソコンや手元のスマートフォンからさまざまな情報を発信するのも、ごく ... 2019年3月25日に開催されたユニバーサルエンターテインメント(UE社)の株主総会では、会社サイドから、岡田和生氏に対する責任追及に関して説明がありました。「出せるものは公開していく」のが会社の方針 ... ユニバーサルエンターテインメントが2020年3月27日に東京・台場で開催した定時株主総会は、昨年と比べてずいぶん静かなものになりました。昨年と大きく違ったところは、COVID-19―いわゆる新型コロナ ...
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