渦中のユニバーサルエンターテインメント

【情報メモ】2022年開催ユニバーサルエンターテインメント株主総会要旨

2022年ユニバーサルエンターテインメント定時株主総会

2022年3月30日に開催したユニバーサルエンターテインメントの株主総会は、次のような内容でした。

国内外の事業などに関する説明

2021年12月期は、前年に続いて新型コロナウイルスの影響がネガティブに働いたものの、明るい兆しが見えてきた分野もあったようです。

国内遊技機事業

  • 新型コロナウイルス感染症が再拡大したことで、ホールの集客や稼働は期待されたほどには至らず
  • それに伴い、遊技機の新台入れ替えに対する慎重な姿勢が続き、遊技機市場は低調に推移した
  • パチスロ7機種、パチンコ5機種を投入した結果、2021年12月期の販売台数は合計12万7000台
  • パチスロについては総販売台数で上位のシェアを確保
  • 2022年12月期は、市場から高評価を得ている「沖ドキDuo」を増産
  • 新機種では、カプコンとの協業作第二弾「パチスロデビルメイクライ5」や、バンダイナムコエンターテインメントのゲームをモチーフにした「SLOTマッピー」などを投入している

フィリピンのリゾート施設・オカダマニラ

  • 新型コロナウイルスの変異株が蔓延したことにより、オカダマニラのあるマニラ首都圏には厳しい規制が敷かれて、その結果、経済活動は一時停止した
  • ワクチン接種の促進と、感染者数の減少により、2021年11月に経済活動に対する規制が緩和されてからは、オカダマニラも緩和されたルールのもとで運営できるようになった
  • 緩和されたルールは、「カジノは座席数の90%まで」「レストランの店内飲食は座席数の80%まで」などといった内容
  • クリスマスシーズンは規制緩和にともなってフィリピン国内が活況になった
  • オカダマニラにおいても、渡航制限があって国外からの観光客は見込めないのにもかかわらず、強い国内需要で盛り上がった
  • 全面再開していたホテルでは、クリスマスシーズンの客室販売数が好調
  • 新型コロナウイルスが発生していなかった2019年の同時期に記録した実績を上回った
  • そのほか、ブランディング強化に力を入れる一方、コスト面の見直しも実施したことで、2021年の調整後EBITDAは2018年12月期の水準を上回った
  • 建設部門では作業を止めることなく施設の完成に注力した
  • これにより、ホテルの客室はすべて竣工
  • また、マニラ湾を一望できるエグゼクティブラウンジなどの新たな設備も整った
  • 客室は993室、カジノテーブルは599台、スロットマシンは4263台になった
  • 新型コロナウイルス感染症の影響は今後も続くと考えられるが、柔軟な運営体制でもって対応していく

オカダマニラのナスダック上場

  • 統合型リゾート事業をグループの中核事業と位置づけ、同事業の上場手続きを進めている
  • 2021年8月には特別買収目的会社(=SPAC)の選定を終えて、スキームの検討からデューデリジェンス、事業価値算定まで済ませた
  • 2021年10月15日に当社グループと26Capitalの間で交わした合併契約書では、2022年6月末までに上場を実現することになっている
  • 2021年12月には、米国ナスダック市場に上場するための登録届け出書・Form F-4を米国証券取引委員会に提出
  • 現在は同委員会に対して、合併ストラクチャーや統合型リゾートの概要、財務情報などについて説明している
  • 同委員会によって登録が認められると、株式交換などの諸手続きを経たのち、晴れて上場となる




株主総会出席者による質問への回答

株主総会で出た質問については、例年と同じく主に富士本淳社長が回答しました。

Q. フィリピンで運営しているオカダマニラの見通しについて

  • 現状、売上目標について明確な数字を出すのは難しい
  • 2021年については、新型コロナウイルス感染症に対して政府がどう規制を敷くかによって、売上は変わってきた
  • 2021年10月までは、政府の規制によって、施設内の半分以上が稼働できない状態になった
  • 2021年10月末から現在までは、政府の規制が緩和されているので、売上は跳ね上がり、11月には新型コロナウイルス発生前の水準を超えたりした
  • 今後は、すでにホテルの客室がすべて竣工したこともあり、大きく飛躍する可能性があると思っているが、政府の規制次第という側面はある
  • 今年むかえる選挙の結果、ウイルス対応の政策が変わってしまう可能性もある
  • フィリピンにおける1日あたりの感染者数は、現在300から500人くらい
  • 現在、マニラでは新型コロナウイルス対策のアラートレベルが(最も低い)1に引き下げられている
  • カジノ、ホテル、レストランについては100%の営業が認められている
  • ホテルは993室を営業していて、稼働率は80~85%と高い水準で推移
  • カジノテーブルは450台前後が稼働、台数は曜日によって変えている
  • スロットについては約2600台が稼働
  • 政府が入国ルールを柔軟化したことで、海外からの渡航客もじょじょに増えている
  • 回復傾向にあるのは間違いない

※後半8つの回答については、現地のフィリピンから株主総会に出席した徳田一取締役からのもの。

Q. ナスダックへの上場について

  • SPACを通じて上場する過程においては、「F-4」という手続きを米国証券取引委員会に申請する
  • F-4を申請してから、米国証券取引委員会と提出者の間で何回か質問→回答というようなやりとりをするのが通例
  • これまでのパターンだと3回前後のやりとりを経て審査完了、というケースが多い
  • このやりとりは、1往復あたり、だいたい2週間かかる
  • つまり、F-4の申請から審査完了までは、6週間ほどかかっている場合が多いということ
  • ちなみに弊社グループはいま、3回目の質問に対応しようとしている段階
  • これで終われば、これから2週間前後で結論となるだろうし、もう1回質問がくればもう2週間、となる
  • いまのところ、手続きはおおむね当初想定した範囲内で進んでいる
  • F-4を米国証券取引委員会が承認すれば、証券取引市場――今回ならナスダック――は、ほぼほぼ間違いなくそれをそのまま受け入れる
  • なので、事実上はF-4をクリアできれば上場にこぎつけるものと考えている

Q. 配当、復配について

  • 弊社としては、配当を重視するという方針・方向性は持っている
  • ただ、現在優先しているのは、高金利の社債を整理して、財務基盤の安定化を図ること
  • その一環として、ナスダックでの株式公開、それから不動産事業の再開を計画している
  • 高金利の社債を減らして、収益体制が整わないと配当はなかなか難しい
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で遅れているが、株式公開・不動産事業・収益改善、以上の3点セットで、少しでも早く配当を出せるよう努力したいとは思っている

Q. 資金繰りについて

  • 当初の若干無理な計画、それとコロナ禍もあり、高い金利をやむなく負わなきゃいけない状況に陥ったのは事実
  • この状況を改善するためにいろいろなことを計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響が長引いたことで遅れている
  • ナスダックでの株式公開により弊社の信用性が高まると、金利の交渉も変わってくる
  • また、株式公開によって得た資金を、一部の返済にあてる選択肢もありうる
  • それからもうひとつ、マニラにおいて不動産開発事業を再開して、その収益を充填していくということもある
  • 高金利の社債をなくしていくというのが経営の第一目標

Q. 日本で統合型リゾートビジネスに参入する可能性について

  • 統合型リゾート、IRリゾートというのは、カジノそのものではない
  • ギャンブル場や鉄火場のようなものではない
  • カジノだけではなく、複合的にいろいろなエンターテインメントを持ち寄って、その周辺の事業価値を上げていくビジネス
  • 不動産価値を上げることで、投資価値につなげていくもの
  • その意味で、何より立地が重要
  • 日本でIRリゾートビジネスを検討している方々は、このあたりがあまりわかっていらっしゃらないように見える
  • IRリゾートで成功した事例――マカオ、ラスベガス、シンガポールは、いずれも暖かいところ
  • 暖かい地域で24時間稼働する状態を作ると、街の活性化につながる、その周辺の土地の事業価値につながる、価値が上がる
  • 反面、ものすごく寒い地域になると冬や夜は難しい
  • 総合的に見たとき、暖かいところのほうが圧倒的に有利
  • もともとは開拓しないと安い土地、そういうところに街を作ると、ものすごく価値が上がる
  • インフラ環境(たとえば飛行場からアクセスできるような立地性)と気候環境、それと規模、こういう条件がそろっていなければ、シンガポールやマカオのような一大リゾートと比べて、最初から負けている、そういう見方をしている
  • 条件に合致した場所が日本国内にあれば参入していく
  • カジノの管理システムをはじめとした機械類の販売については、どんな地域であろうが展開していくつもり
  • ただ、我々が営業するマニラから近いエリアにいる競合相手と協力関係をとることは難しい
  • 対象になるのは、日本やシンガポールなど
  • 実際、シンガポールサンズとは我々の管理システムの紹介など、やりとりをした
  • 販売や提携は前向きに考えていきたい

Q. オカダマニラの戦略について

  • 2021年の11月と12月の業況は、新型コロナウイルス発生前の水準まで戻った
  • これは、中国人客をはじめとした海外からの渡航客がまだいない段階での数字
  • 以前の株主総会で申し上げたように、たとえばシンガポールは金額ベースで3割以上を中国人客に頼っているが、フィリピンは国内の客が非常に多い
  • この点が立証された
  • 最近になって入国規制が緩和され、ほぼ自由化されたので、上乗せに期待感がある
  • また、マカオのジャンケットに対する規制が強化されたので、このあたりの客層をもってこれるよう、そこへの対応を水面下でとっている
  • 非常に大きなチャンスがころがってきていると認識している
  • VIP客への対応と、海外からの渡航客の上乗せにとくに力を入れていく
  • 営業上、具体的な話はできないが、いろいろな施策を持っている

なお、今年の株主総会では、「オンライン上で株主総会を開催できるようにする議案」が可決されました。これにより、来年以降は手軽にオンラインから株主総会に出席できるようになるかもしれません。

ユニバーサルエンターテインメントの過去の株主総会について振り返りたい場合は、下記のページからご覧ください。

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