遊技機メーカーとして知られるユニバーサルエンターテインメント社と、その創業者である岡田和生氏に関わる一連のトピックを追いかけております。 ​

ユニバーサルエンターテインメントの経営騒動に潜む闇

渦中のユニバーサルエンターテインメント

ユニバーサルエンターテインメントのキーマン・岡田知裕氏が父親と戦うなかで明かした「知られざる事実」

ユニバーサルエンターテインメントが1998年に「アルゼ」という社名で自社の株式を一般に公開した当初から、同社の有価証券報告書の「大株主」欄には、たしかに『岡田知裕』という名前がありました。ところが、彼の父親であり、またユニバーサルエンターテイメントの創業者でもある岡田和生氏は、あれから20年以上経ったいまごろになってこんな異論を唱えています。――「自分が創り上げてきた会社の株式を、子供たちに分け与えたことになっているが、これは実態と異なる」。はた目に見れば、何をいまさら、といった感じですが、当の岡田和生氏が本気であることは間違いありません。何しろ氏は、「岡田知裕」の名義になっているぶんの株式が実際には自分のものであると主張し、実の息子に対して訴訟まで起こしているのですから。ただし、この訴訟が、岡田和生氏にとって都合のよい結末になることはまずないでしょう。なぜなら、家族間の株式をめぐる経緯についてはずいぶん昔のことであるものの、知裕氏には、父親のデタラメを打ち負かすだけの“切り札”があったからです。

1998年9月アルゼ半期報告書




「子供名義の株も私のもの」とする岡田和生氏の狙いは

これまで有価証券報告書に記載してきた事実をなかったことにして、岡田知裕名義の株式も自分のものだと主張する岡田和生氏の狙いは何か? まずこの点から解説しておくと、これは、氏がユニバーサルエンターテイメントグループのトップに返り咲くための一計です。

2022年現在、ユニバーサルエンターテイメントの筆頭株主にして同社の株式およそ70%をにぎるオカダホールディングスは、もともと岡田和生氏や息子の知裕氏ら親族それぞれが持っていたユニバーサルエンターテイメントの株式を集約してできた会社でした(※現在は親族それぞれがオカダホールディングスの株式を持っている)。

オカダホールディングスの構造およびユニバーサルエンターテインメントとの関係

それゆえに、もし仮に時間をさかのぼって、「子供たちの名義になっていた株式は岡田和生のもの」と改めた場合、オカダホールディングスは「岡田和生氏個人の会社」と言って差し支えないものになります。そしてこうなれば、結果として岡田和生氏は、オカダホールディングスを通じてユニバーサルエンターテイメントの人事権を掌握できることになりますから、自分にとって都合の悪い人間は一掃する、自分自身を会社のトップに据えた体制に刷新する、といったことに着手できるようになるというわけです。

これまで当サイトが報じてきたような数々の不正だって、ユニバーサルエンターテイメントのトップに返り咲いたあかつきに、自分以外の誰かに責任転嫁する。こんなふうにすれば、岡田和生氏個人の責任はチャラにしつつコトをおさめられるでしょう。実際、岡田和生氏は、過去に似たようなことをやってきました。

岡田和生氏が部下に責任転嫁するパターンは、ユニバーサルエンターテイメントの社内で語り草になってきました。

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かつて岡田和生氏のそばで働いていた人は、周囲から「とにかくうまくいかないと、いきなり責任とらされて後ろから刺されるから。おまえ、気をつけたほうがいいよ」との忠告を受けていたと証言しています。

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もっとも、こういった岡田和生氏のもくろみがうまくいくかといえば、それはありえないと考えられます。というのも、氏の主張する「子供たちの名義になっていた株式は自分のものだ」とする話は、たわごとにすぎないものと言えるためです。根拠はふたつあります。

山積する矛盾

ひとつめの根拠については、これまで岡田和生氏が見せてきた言動にあります。おかしなことに岡田和生氏は、いまでこそ「子供たちの名義になっている株式は自分のもの」と主張していますが、当初はこんな主張を一切していなかったのです。

それどころか、次のタイムラインをよく見るとわかるように、はじめのころはオカダホールディングスのある香港で裁判手続きを進めて、このなかで息子の知裕氏ら親族の持つ(オカダホールディングスの)株式を、自分に売却するよう求めていました。これは、かつては岡田和生氏がいまと真逆の言動をとっていた――親族それぞれが持つ株式は各自の持ち株だと自ら認めていた――ことを意味しますから、明らかに矛盾した行動と言わざるをえません。

岡田和生氏が「子供名義の株式は私のもの」と主張し出すまでの足あと

2017
2017-05-23

岡田和生氏が「長男には事業継承の目的で株を渡した」と明言

この日に開催されたユニバーサルエンターテインメントの臨時取締役会において、岡田和生氏は「オカダホールディングスにどこの馬の骨かわからないのが代表権をとって入り込んできた」と切り出し、自分がオカダホールディングスの代表から外されたことについて言及。続いて、「この会社は家族のファミリー企業だ」「長男と長女の持ち株を合わせると、私の保有株を少し超えて過半数になる」「長男には事業継承の目的で株を渡したが、不信感が生じてこうなった」と説明している(※参考記事)。

2017-06-07

岡田和生氏が家族に対して株式を自分に売却するよう求める

去る2017年5月23日の取締役会で、ユニバーサルエンターテインメントから事実上の追放処分を受けていた岡田和生氏は、まもなく香港で知裕氏をはじめとした親族らを提訴(※リンク先訴訟(ア)参照)。このなかで、子供たちや妻の持つ(オカダホールディングスの)株式を自分に売却するよう求めた。

氏は、親族の持つ株式を買い取ることで、ユニバーサルエンターテインメントの実質的な親会社にあたるオカダホールディングスの実権をたしかなものにして、即座に復権することを画策していたと考えられる。

しかし、裏を返せば、この時点で岡田和生氏は、知裕氏らの持つ株式が、親族それぞれのものであることを自ら認めていたことになる。

2017-08-15

岡田和生氏から知裕氏へ「臨時株主総会招集通知」を送付

文書のなかでは、2017年9月8日に、東京都港区東麻布でオカダホールディングスの臨時株主総会を開く旨と、知裕氏に参加を促すような文面をつづっていた。論理的に考えれば、知裕氏に議決権があるからこそ、法律面で不備のないよう、こういった文書を送ったと見える。

なお、厳密にいえば、岡田和生氏は当時すでにオカダホールディングスの代表者ではなくなっていたので、そもそもこの時点で氏に株主総会を仕切る権限はなかった。

2017-09-14

岡田和生氏が中山達樹弁護士とともに記者会見を開く

記者会見では、岡田和生氏がこの先の展望について、「今後、手続きが進めば、自分が(ユニバーサルエンターテインメントの)社長に復帰する」と主張。氏は、その根拠として、「長女と自分の株を合わせて過半数を取り戻した」としていた。

これも、岡田和生氏自ら、「家族の人間はそれぞれがオカダホールディングスの株式および議決権を持っている」と認めていた証左だと言える。

2017-12-07

岡田和生氏が週刊新潮 2017年12月14日号の誌面に登場

記事に取り上げられた岡田和生氏の発言のなかには、知裕氏に関するものとして、「息子に預けている株を返してもらうしかありません」といった言葉が見つかる。この言葉は、「子供名義の株式は自分のものだ」という主張に近いニュアンスではあるものの、この時点でこれ以上の言及はない。

2018
2018-01-29

岡田和生氏の代理人が東京証券取引所の社長に文書を送付

岡田和生氏の代理人を務める香港の弁護士が、この日付けで東京証券取引所の代表取締役社長宛てに文書を送付した。当該文書は、「株式会社ユニバーサルエンターテインメント(JQ6425)について」と題する質問状。このなかでは「2018年8月14日以前において、オカダホールディングスの株式保有比率が以下であることは議論の余地はありません」という文面とともに、「岡田知裕  43.38%」と明記していた。

2018-04-25

岡田和生氏が香港で新たな訴訟を提起

岡田和生氏はこの日、香港でオカダホールディングスなどを相手取って訴訟を提起した(リンク先訴訟(エ)参照)。原告として、訴訟に至った経緯を説明する文書のなかでは、「原告の息子である岡田知裕は、オカダホールディングスの株式43.48%を保有する」と明記している。

また、こののち2018年5月21日に岡田和生氏が手続きした別の申し立て(リンク先訴訟(カ)参照)でも、提出書面のなかで同じように知裕氏の株式保有を認めていた。

2019
2019-02-08

子供名義の株式に関する岡田和生氏の主張をメディアが報じる

この日、香港のメディアが、岡田和生氏の新たな申し立てを報じる。報道によれば、岡田和生氏は現地の裁判所で「子供たちの持つ株式は、じつは自分のもの」だから「息子は株式を返還するように」と要求したという(※参考記事)。

岡田和生氏の「子供名義の株式は私のもの」という主張が本格化したのは、このあたりから。

当時は、知裕氏と妹の裕実氏の間で争っていた別件の訴訟で、「オカダホールディングスの実権が父・和生にはなく、息子・知裕にある」とはっきりしつつあったことから、岡田和生氏はこのころから意識して戦略をシフトしたように見えなくもない。

2019-03-12

週刊ポスト2019年3月22号の誌面に岡田和生氏が登場

記事では、ジャーナリストのインタビューに答える形で、岡田和生氏がさまざまな主張を述べており、このなかには「息子の株は“名義株”だから議決権はないものと、高をくくっていた」との言及が見つかる。しかし、時系列をさかのぼればわかるように、これまでさまざまな形で幾度と息子に議決権があることを自ら認めていたのだから、氏の主張は支離滅裂なものだと言える。

2019-03-18

週刊現代2019年3月30日号の誌面に岡田和生氏が登場

記事は、「相続対策で名義変更して、信じていた息子にすべてを取られるまで」と題したもの。岡田和生氏の話として、「将来の子どもたちへの相続や事業承継に備えて、私の株式を長男・知裕や長女・裕実の名義にしていました」「それが裏目に出て、ユニバーサルエンターテインメント社の現経営陣に知裕がそそのかされ、会社を乗っ取られてしまったのです」「実際の株は私のもの」「子供にも『預かっているだけ』という認識はあったはず」「『私の何が悪かったんだ?』と聞くつもりで息子との対話を望んでいますが、連絡が取れない状況です」といった言葉が載っている。

2019-08-13

日本で岡田和生氏が知裕氏に対して株主確認請求訴訟を起こす

「子供名義の株は自分のもの」と主張する岡田和生氏はこの日、日本で知裕氏を提訴(リンク先訴訟(け)参照)。実力行使に動いた。

訴状では、「岡田知裕の名義になっているオカダホールディングスの株式の株主権が、岡田和生に帰属すること」を確認したいとの主旨を書きつづっている。

本当に株式が自分のものだというのなら、はじめからそう主張すればよいのに、そうはしてこなかった。それはなぜかといえば、岡田和生氏の主張はそもそも、氏が思うように復権にこぎつけないなかで苦しまぎれに出してきた詭弁にすぎないから、と見るのが妥当なところでしょう。

実の息子に提訴までした父親の言いぶんと、金融商品取引法違反

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