経営騒動で焦点になっているのは複数の不正行為

ユニバーサルエンターテインメント社(UEC)の創業者である岡田和生氏が現在、UECからすべての役職を解かれ、経営の実権を手放していることについて、「大塚家具で起きていた親子の問題と変わりない」と考えている方は少なくないのかもしれません。創業家や経営陣の間で、経営戦略だとか相続を巡って、いわゆる「お家騒動」が起きているのだと。しかし、その見方は誤りです。

大塚家具とUECの違い

大塚家具で起きていたことは、お家騒動だといって差し支えないでしょう。創業者である父親と、後継者として名乗りをあげた長女が、経営権を巡って争っていたのですから。それぞれの陣営が様々な主張や動きを展開して、議論になったのを記憶している方もいらっしゃるでしょう。株主の立場からすると、父親と長女、どちらに経営を任せるのがこの先の大塚家具にとって好ましいか、その信任投票になった、という構図です。

一方、UECの騒動では、大塚家具の件にはない、大きな相違点があります。それは、同社の創業者であり、取締役会長を務めていた岡田和生氏による複数の不正行為が一部から指摘されたこと。公私混同をいとわず、強引な手立ても辞さないような氏の手腕が、法の観点から問題視されていることです。氏がUECのすべての役職を解かれたのも、このことが発端になっています。つまり、同社の経営権を巡る騒動の根底にあるのは、経営戦略や相続云々といった問題ではなく、法令遵守というもっと重大な問題なのです。この点で、 純粋な信任投票であった大塚家具のケースとは根本的に異なります。大塚家具と同じように見えてもそれは部分的なものであり、本質は異なるのです。

年間1000億円ほどの売上高を計上し、従業員と株主は、それぞれ8000人を超える大企業。そのトップともあろう人間が、モラルやコンプライアンスの意識に欠け、目的のためなら違法行為にまで手を染めるとしたら――。それは、会社そのものの存続すら危うくしかねない脅威になります。すべてのステークホルダーにとって、災いになるのではないでしょうか。

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