送金先から浮き彫りになる不気味な人脈 ​

UECの特別調査委員会によって指摘された問題において、貸付先として登場する李堅氏と、岡田和生氏。両者の関係は、2014年11月にOHLから李堅氏宛に1億3500万香港ドルを送金するよりもっと前の、2013年初頭には始まっていたと見られています。その時期は、SJIで李堅氏主導のもと繰り返されていた架空取引が、終盤をむかえつつあるころにあたります。そして、ふたりの足跡をたどっていくと、おかしな人脈が浮き彫りになります。

はじまりはSJI香港への貸付

李堅氏と岡田和生氏。両者がだいぶ前から関係を持っていたことを裏付ける資料があります。SJIが2015年12月29日に公表した「社内調査委員会報告書」です。

この報告書は主に、SJIで発覚した架空取引に関連すると疑われた「E取引」なるものについて調査したもの。このなかに「香港所在のS社」としてOHLが登場するのです。報告書によれば、OHLは2013年2月28日に、SJIの子会社であるSJI香港との間で、OHLからSJI香港に対して18億円を貸し付ける契約を結んでいます。そして送金された18億円のうち、8億円が即日SJI香港から同社の取引先だったキング・テック社に貸し付けられて、さらにそこから一部は李堅氏の個人口座に送金されたことも記されています。なお、このときSJI香港の董事長(=会社のトップ)は李堅氏が務めていました。岡田和生氏と李堅氏を仲立ちしたのは、当時UECの代理人を務めていた弁護士だったという話もあります。

(ZAITEN 2018年2月号より)

「佐戸康高」を交えた合意

おかしな人脈が垣間見えてくるのは、ここからです。ZAITEN2018年2月号や、FACTA2018年10月号が報じたところによると、OHLとSJI香港の両社で結ばれた貸付の金利は年率15%、期限は契約から6ヶ月だったものの、返済は約束通りには履行されず。しばらくしてOHLが動きます。

『14年10月16日、オカダHDは2通の合意書を交わす。当時、元本回収は1割も進んでいなかった。1通目はSJI香港および「ダイマジン・グローバル」(以下、ダイマジン社)なる香港法人との三者間で交わした「債権譲渡に関する合意書」、2通目はダイマジン社と二者で交わした「代物弁済に関する合意書」である。』
(引用元:ZAITEN 2018年2月号『ユニバーサルエンタ「創業者追放に新事実」』)

ここに出てくるダイマジン社の代表を務め、「ザ・ニュー・ストラテジック・インベストメンツ・プライベートリミテッド」なるシンガポール法人を通じてダイマジン社の全株を保有していたのは、佐戸康高氏。直近では2017年10月17日に、東証マザーズに上場するストリーム社の株を巡る相場操縦事件で逮捕、同年11月27日に起訴された人物です。歴史をさかのぼって氏の過去にいくつかふれていくと、古いところでは、2009年にジャパン・デジタル・コンテンツ信託社が上場廃止をむかえつつあるころ、同社の株式に関わる大量保有報告書の提出者として登場したことが確認できます。

そこから時間を進めた2011年にはリミックスポイント社や安愚楽牧場の役員として、2012~2013年にはエルシーエーホールディングスの大株主として名前が出てきます。安愚楽牧場の件では、外部から経営コンサルタントとして参画していたようです。

『常務執行役員の佐戸康高(サドヤスタカ)でございます。私は三ヶ尻社長の補佐役という形で行動しております。』
(引用元:安愚楽牧場債権者説明会 質疑応答議事録)

『佐戸康高 =安愚楽牧場のコンサルティング会社であったエコ・コンストラクション株式会社の元取締役で、元安愚楽牧場の常務執行役員』
(引用元:全国安愚楽牧場被害対策弁護団/三ケ尻・大石・増渕に対する損害賠償請求訴訟/裁判情報)

このほか、ダイマジン社とOHLが2通の合意を交わした2014年10月以降も、たびたび各所に登場。2015年にはSOLホールディングスの新株予約権引受先として名前が挙がっています。

氏の詳細について追うことは当サイトの主旨と異なってくるため、引用先などに譲るとしますが、ほとんどの件で共通しているのは、行き詰まった会社があると手を差し伸べるように現れていること、です。といっても、先に挙げた会社それぞれの顛末を追っていけば、氏がまっとうな再建請負人というわけでないことは判断できるのではないでしょうか。さらに、「佐戸康高」の名をたどっていくと、そこから芋づる式に、さまざまな人物たちの名前が出てきたりもします。

のみ込まれた恐れ

相手の経歴をふまえれば、あまりほめられた取引ではないとはいえ、18億円の貸し付けとふたつの合意は、あくまで岡田和生氏個人と、氏のプライベートな法人であるOHLの責任で交わされたものです。ここで一連の取引が終わるのなら、私的な交友関係にすぎない、と評価することもできます……が、そうはなりませんでした。この件で2014年10月16日に合意書を交わしてまもなく、先の18億円の貸し付けが未回収のまま、2014年11月24日にOHLから李堅氏に1億3500万香港ドルを新たに貸し付け、そののちUECの関係会社であるTRAを巻き込んでいくのですから。

UECの経営権を巡る騒動がはじまってから1年半ほど経った現在、同社の経営に支障は出ていません。しかし、もしも岡田和生氏が会社のトップを務め続けていたら――。おかしな人脈との関係が続き、やがておかしな取引を通じてUECの資産が絡め取られていった可能性がないとは決して言い切れないでしょう。

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