岡田一族の資産管理会社・オカダホールディングスに関連して、岡田和生氏の息子・知裕氏が、妹の裕実氏と結んだ信託契約。この契約の有効性をめぐって続いてきた法廷闘争が、ついに終局をむかえました。
この記事のあらすじ
- 岡田和生氏の息子・知裕氏と、娘・裕実の間で続いてきた訴訟が決着
- 訴訟で出た結論は、岡田和生氏にとって致命的なものになると考えられる
訴訟は「信託有効」の判決で決着
訴訟は、2020年7月14日に、最高裁判所が岡田裕実氏の上訴を退けるという形で終局しました。この日の決定でもって、一審および控訴審で出ていた「信託契約は有効」という判決が、この訴訟の司法判断となります。
これまで裕実氏サイドは、オカダホールディングスに関連して兄の知裕氏と結んだ信託契約が、無効なものであるとして争う姿勢を続けてきましたが、それももうおしまいです。最高裁において結論が出た以上、信託契約の有効性は異論をはさむ余地のないものとなりました。
信託契約確認請求訴訟のまとめ ※情報は原審に基づく |
状況 | 管轄の裁判所 |
原告の勝訴で決着 | 東京地裁→東京高裁→最高裁判所 |
原告 | 被告 |
岡田知裕 | 岡田裕実 |
補足説明 | |
オカダホールディングスに関連して結んだ信託契約が有効なものであると確認するため、岡田知裕氏から妹の裕実氏に対して提起した訴訟。一審で出た「信託契約は有効」という判決が、揺るがぬまま終局となった。一審判決および控訴審判決が出たときの話を見るならこちらへ。 |
岡田和生氏の復帰は絶望的
さて、このたびはっきりした、「岡田兄妹の信託契約は有効なものである」という事実は、ユニバーサルエンターテインメントの経営に復帰することをもくろんできた岡田和生氏にとって、致命的なものになると考えられます。――なぜか?
理由のひとつは、くだんの信託契約によって、オカダホールディングスの実権を握るのは知裕氏だということが、明確な既成事実になったためです。知裕氏は、裕実氏から株式を信託される形で、合計およそ54%の議決権を確保したことになっています。
オカダホールディングスといえば、ユニバーサルエンターテインメントの実質的な親会社でもありますから、本来ならその立場からさまざまな権力を行使できます。ただし、いまその実権を行使できるのは、あくまで知裕氏です。和生氏には権限がありません。仮に岡田和生氏が単独で、「自分をユニバーサルエンターテインメントの取締役に復帰させろ」と迫ったところで、同社の経営陣はそれに従う必要がないのです。
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【導入3】オカダホールディングスを巡る議決権争い
ユニバーサルエンターテインメント(UE社)の経営云々を語る上で重要なポイントが、その株主構成にあります。同社の発行する全株式のうち68%ほどを保有し、圧倒的な議決権を確保しているのは香港法人オカダホー ...
そして、理由のもうひとつは、この信託契約が30年に渡って続くものだから、です。この間、契約を破棄したりすることは基本的にできません。知裕氏が妹の裕実氏と契約を結んだのは2017年のことですから、ここから30年後といえば2047年になります。では、そのとき岡田和生がいくつになっているか? この計算を済ませれば、岡田和生氏の復帰がもはや現実的な話でないことは言うまでもないでしょう。
傍目に見れば決着 それでもあきらめない父親
窮地に立たされた岡田和生氏は、いま何を思うのか? この点について少しふれておくと、氏はおそらく
- 「いや、そもそも息子や娘が持っているオカダホールディングスの株式は自分のものだから」
- 「子供たちが株式を所有しているのは、名義上の話にすぎない」
- 「株式の真の所有者は自分」
などと豪語しているはずです。事実、氏はこういった主張でもって、2019年から息子の知裕氏に対して「株主権確認請求訴訟」なるものをはじめています。
訴訟(け) | 状況 |
株主権確認請求訴訟 | 係争中 |
原告 | 被告 |
岡田和生 | 岡田知裕 |
概要など | |
「オカダホールディングスの株式のほとんどは、自分に帰属する。オカダホールディングスの株主として名前が出ている岡田知裕は、あくまで名義上のものにすぎない」として、岡田和生氏から息子である知裕氏に提起した訴訟。訴状は、2019年8月になってから裁判所に提出された。 |
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【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【日本】
ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、日本国内で起きた訴訟をまとめました。なお、ここに掲載中の訴訟は、ユニバーサルエンターテインメントにおいて経営騒動が表面化してから提起されたも ...
ただ、こうした主張が正当なものなのか、その点は大いに疑問と言わざるを得ません。そもそもそんな話があったのなら、2019年になってから訴訟を起こす必要なんてありません。岡田和生氏がユニバーサルエンターテインメントから追放された直後、つまり2017年の時点で動き出せたはずでしょう。
それに、株式の名義を貸し借りするというのは、有価証券報告書の虚偽記載にあたる行為です。岡田和生氏の行動をたとえるなら、長年違法行為をやっていたと告白しているようなものでしょう。本人にその自覚があるのかないのか知りませんが、苦しまぎれの口実作りのように見えます。
これまで、岡田和生氏がさまざまなウソを繰り返してきたことは、すでに皆さんもご存知でしょう? 事実が何であるか見定めること、見定めようとすることは、あらゆる局面で重要な行程です。もちろん、予測することや想像することも役に立ちますが、事実をおざなりにしていたら、そのぶん実態を見誤ることになりかね ...
ウソ偽りのオンパレード “演出屋”岡田和生の手口
【西武鉄道の株式では実際に名義偽装が問題になりました】
文庫 堤義明 闇の帝国 (草思社文庫)
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