問題のカギ握るオカダホールディングス

岡田和生氏が離婚へ 自ら認める

岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテインメントの創業者であると同時に、一代で大きな財を築いた富豪としても知られた存在です。毎年、各国の各媒体が発表する「長者番付リスト」の類には、常連のように名を連ねてきました。しかし、今後は少々事情が異なってくるかもしれません。妻を軽んじ、裏切った代償というのは、決して安くないのですから。


この記事のあらすじ

  • 岡田和生氏が妻の岡田幸子氏から離婚を迫られた
  • 岡田和生氏は、妻が香港で離婚訴訟を起こしたことについて「ずる賢い」と非難しているが、この指摘は筋違い
  • 岡田和生氏は、自分にとって不都合なことに一切ふれていない
  • 離婚が成立すると、ユニバーサルエンターテインメントにも大きな影響があると考えられる

氏の再婚からおよそ20年で終止符

岡田夫妻が、離婚の手続きに入っている。こんな話を報じたのは、このたび発売になった日本の週刊誌です。記事によれば、夫妻の離婚手続きが始まったのは2018年10月ごろ。夫人のほうから手続きを進められたようであり、岡田和生氏はこうした動きについて「何かのタイミングを計ったよう」だと評しつつ、次のように語っています。

週刊ポスト 2019年3月22日号から

「日本では離婚訴訟で特有財産の分与は認められないけども、香港ではそれを認めている。だから、香港で起こしたんですよ。ずる賢いというか、恥を知らないというか……」

引用元:“日本のカジノ王“岡田和生「妻と息子に会社を追放されるまで」




ざっくり言って、香港の法律が女性にとって有利に働きやすいことは事実です。理由は、離婚にあたって夫から妻、あるいは妻から夫に分与する財産の考え方が、根本的に日本と異なることにあります。このあたりに関して、現地の弁護士会はこう説明しています。

​香港大律師公會のウェブサイトから

​香港法庭擁有非常大的酌情權對屬於夫妻的所有財產(無論在個人名下還是雙方名下)在平等公平的原則下,以分割財產或者分期撫養費等的方式,進行再分配。
意訳離婚の過程で、香港の裁判所は夫妻に属するすべての財産について、非常に大きな裁量権を持っています。平等と公正の原則のもとで、財産の再分配を実施します。

​財產是否由某一方婚前所得也是考慮因素之一,但非重要因素。
意訳財産が結婚前に当事者によって取得されたものかどうかも、考慮事項の1つです。しかし、重要な要素ではありません。

這和嚴格區分婚前婚後財產,個人及夫妻共同財產的大陸法律有很大不同。
​意訳婚前と婚姻後の財産を厳密に区別する本土法とは大きく異なります。

香港法律相對的對於女方可能更為有利。
意訳香港の法律は女性にとって有利かもしれません。

引用元:在香港離婚之可行性小議

つまり、離婚にあたって財産分与の対象になるのは、夫妻に所有権のあるものすべて、というのが香港の考え方なのです。このルールに基づけば、岡田和生氏は自身の持つ財産を、大ざっぱにいって半分近く、妻に分与しなければいけなくなる展開がありえるということでしょう。氏の場合、財産の大半はオカダホールディングス(OHL)の株式ですから、この離婚沙汰は、オカダホールディングスの議決権争いに決着をつける可能性も秘めています。おそらく先に挙げた氏の発言は、このあたりと関係があると見込まれます。


続・オカダホールディングスを巡る議決権争い

世間から「内紛」とも評される、ユニバーサルエンターテインメント(UEC)の経営騒動において、Okada Holdings Limited(OHL)の議決権争いがひとつのキーになっているのは既報の通り。 ...


オカダホールディングスを巡る香港での動き
オカダホールディングスを巡る香港での動き

不正の嫌疑をかけられてユニバーサルエンターテインメント(UE社)を追い出された格好になった岡田和生氏は、オカダホールディングス(OHL)の実権を取り返すべくあらゆる手を講じてきました。自身の長女である ...


オカダホールディングスをめぐる信託契約『有効』の判決 ​

オカダホールディングスの実権を取り戻すべく、ひいてはユニバーサルエンターテインメントの経営陣に復帰すべく、岡田和生氏はここまであらゆる手を尽くしてきたわけですが、コトは思うように進まないようです。この ...





「香港で離婚」の根拠 ずる賢いのは誰か


​岡田和生氏は、妻が離婚訴訟を香港で起こしたことについて、「ずる賢い」「恥を知らない」と非難していますが、ここには重要な論点が抜け落ちています。

ひとつは、これまで氏が、主にどこを拠点にしてきたか、という話です。英語版のWikipediaによれば、Kazuo Okada のResidence(=居住地)は「Hong Kong」となっています(※2019年3月現在)。岡田ファミリーの資産管理会社であるオカダホールディングスも、氏が香港で設立したものです。

香港に拠点を持ち、香港で大半の資産を管理してきた。であるのなら、今回のような手続きもまた、香港で進めるというのが妥当であり、実態に即していると言えましょう。これまで長きにわたって香港で主に税制面の恩恵を授かっておきながら、いざ自分が不利な立場になったら日本の法律に頼ろうとする。このことのほうが、むしろ違和感をおぼえます

先に取り上げた弁護士会のウェブサイトにも、こうあります。次の3つのうち、1つでも当てはまれば、離婚訴訟は香港の裁判所に管轄権がある、と。

​香港大律師公會のウェブサイトから

  • (一)在呈請或申請提出當日,婚姻的任何一方以香港為居籍;
    意訳申立て、または申請の日に結婚の当事者が香港に居住している。

 

  • (二) 在緊接呈請或申請提出當日之前的整段3年期間內,婚姻的任何一方慣常居於香港;或
    意訳申立て、または申請の日までの3年間、結婚の当事者が香港に住んでいる。

 

  • (三)在呈請或申請提出當日,婚姻的任何一方與香港有密切聯繫。
    意訳申立て、または申請の日に、結婚の当事者が香港と密接な関係を持っている。

引用元:在香港離婚之可行性小議




「夫の不貞」という事実 恥を知らないのは誰か


​そして、もうひとつ重要なのは、なぜ離婚を決断するに至ったか誰の行動が発端になったか、ということです。この点については、今後法廷で双方が主張しあうものと見られますが、外野の立場からでも思い当たることはあります。

岡田和生氏の不貞行為です。

氏に、妻とは別の女性がいたことについては、2018年5月ごろ明らかになっています。いわゆる愛人です。

きっかけは、フィリピンの報道でした。当時、現地で公文書に関連した不正が見つかったのですが、この当事者が岡田和生氏とお相手だった、というわけです。不貞行為に及んだふたりの関係が、不正行為の発覚から明るみになったというのは、まるでブラックジョークです。

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報道の中で注目を集めたのは、お相手のInstagram。彼女は、大胆にもふたりの関係がわかるような写真を投稿していたのです。当該アカウントは、すでにアクセスを限定しているため、実際の投稿は確認できません。ただし、記録はいくらか残っています。

https://www.kabuo10x.fun/entry/kazuo_okada_estafa_dismissed

​写真のタイムスタンプは、リンク先からいま確認できるものでも「2015年8月13日」とありますから、ふたりの関係が長く続いてきたことは間違いなさそうです。

なお、岡田和生氏は、これらの事実について外部に語っていないようです。今回、離婚の事実を報じた週刊誌も、この件に一切ふれていませんでした。これは、2度にわたって人の気持ちを踏みにじったとでも言うべき行為です。不貞行為に及んだだけでなく、そのことは伏せながら、妻である女性を非難しているのですから。

ひるがえって夫人にしてみれば、彼女は裏切られた立場にあるわけです。妻として。あるいは家族として。岡田和生氏は、数々の不正行為のこともあります。フィリピンでは起訴状、逮捕状まで発布されました

フィリピン
終わりのはじまりか フィリピン当局が岡田和生氏を起訴、逮捕へ

「The darkest hour is always just before the dawn.」―― 夜明け前がいちばん暗い、なんて言葉がありますが、明けない夜はない、ということなのでしょう。闇夜 ...

裏切られた立場にある人が、(ルールに従った上で)せめて一矢報いたい、と思ったとして、それは責められるべき行為になるのでしょうか?



​オカダホールディングスの行方にも影響

​離婚訴訟に直面したことで、岡田和生氏の経営復帰が遠のきつつあるのは間違いありません。仮にオカダホールディングスの株式について、氏の保有分を妻に半分譲ることになれば、家族間の保有比率は大きく塗り替わるのですから。


夫人が、岡田姓から旧姓に戻すに伴い、オカダホールディングスという法人そのもののあり方すら変わることもありえます。

ただし、岡田和生氏が素直に、自身の置かれた状況を受け入れることはないでしょう。それは、これまでの振る舞い方を見れば言わずもがな、です。


岡田和生氏の次なる一手「子供の株は父のもの」

まさに、あの手この手を用いる考えなのでしょう。岡田和生氏が、このたび香港で新たな訴訟を提起しました。氏の狙いは今回もまた、オカダホールディングス(OHL)の実権にあるようです。ただし、訴えの内容を見て ...

この先、何か手立てを打つとして、とりわけ奇策になりそうなのは、分与の対象になる財産を低く見積もらせるというアプローチかもしれません。

分与の対象になる財産は、主にオカダホールディングスの株式。そしてそのオカダホールディングスが持つ資産の大半は、ユニバーサルエンターテインメントの株式です。……さて、離婚訴訟の決着がつくまで、氏はどういった状況を望むことになるでしょう? なかなか興味深い構図だとは思います。

おや、日本でもいろいろな手法があるようですね

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