下記の記事で取り上げたように、ユニバーサルエンターテインメントグループと26 Capital Acquisition Corpが「オカダマニラ(を擁するIRリゾート事業)の上場」で合意し、契約を交わしたのは2021年10月のことでした。当初この契約では、2022年6月30日を期限としていましたが、2022年6月と2022年9月に当事者間で延長手続きがなされたことで、契約の期限は2023年9月30日まで繰り延べされています。「オカダマニラの上場」に関連した各種の訴訟は、こうしたなかで起きました。
TIger Resort Asia / Tiger Resort Leisure and Entertainment / UE Resorts International / Project Tiger Meger Sub
訴訟の概要
原告の26 Capital Acquisition Corpは、ユニバーサルエンターテインメントグループがオカダマニラ(擁するIRリゾート事業)の上場に必要な手続きを十分にとってこなかったとして非難
これらは、26 Capital Acquisition Corpの主張によれば、契約違反にあたるという
26 Capital Acquisition Corpは被告に対して、自社とユニバーサルエンターテインメントグループの間で結んだ契約を履行するか、契約の履行に見合うだけの対価を支払うよう求めている
B
訴訟がはじまった時期
2023年2月
場所
デラウェア州裁判所
反訴原告
TIger Resort Asia / Tiger Resort Leisure and Entertainment / UE Resorts International / Project Tiger Meger Sub
反訴被告
26 Capital Acquisition Corp / 26 Capital Holdings LLC
訴訟の概要
Aの提訴に対する反訴
本訴で26 Capital Acquisition Corpがユニバーサルエンターテインメントグループの契約違反を指摘したのに対して、反訴ではユニバーサルエンターテインメントグループが 26 Capital Acquisition Corpの契約違反を指摘するほか、「26 Capital陣営は詐欺を働いた上で契約を締結させた」と非難している
ユニバーサルエンターテインメントグループによれば、
特定の投資家にPIPE投資を検討してもらうための手はずを整えたのに、26 Capital Acquisition Corpは誠意をもって取り組まなかったこと
26 Capital Acquisition Corpを率いるJason Ader氏が、事前にユニバーサルエンターテインメントグループから承認を得ることなくメディアで情報発信を続けてきたこと
26 Capital Acquisition Corpがユニバーサルエンターテインメントグループの機密情報を無断で外部のコンサルタントに開示したこと
などが契約違反にあたるという
一方の詐欺に関する主旨は、「26 Capital Acquisition Corpのスポンサー株式にまつわる事実が適切に開示されていれば、契約を締結することはなかったし、延長することもなかった」といった内容
26 Capital Acquisition Corpのスポンサー株式がZama CapitalやRimu Capitalといった第三者に譲渡されていたにもかかわらず、この事実を公にしてこなかったことは米国証券法に違反する、とも主張している
反訴を通じてユニバーサルエンターテインメントグループが求めているのは、26 Capital Acquisition Corpと結んだ契約の破棄と、今日まで契約を引き延ばすことによって生じた費用の賠償など
ユニバーサルエンターテインメント / UE Resorts International / Okada Manila International / Tiger Resort Leisure and Entertainment
被告
Alexander Eiseman / Zama Capital Advisors / Zama Capital Strategy Advisors / Zama Capital Master Fund / John Doe Entity 1 / Christian Littlejohn
訴訟の概要
提訴に至ったきっかけは、Bのディスカバリー(=証拠開示手続き)において、26 Capital Acquisition Corpのスポンサー株式がAlexander Eiseman氏に渡っていたと判明したことから
この訴訟の被告であり、またZama Capital Master Fundの代表でもあるAlexander Eiseman氏は、これまで「オカダマニラ上場」に関連して、Zama Capital AdvisorsやZama Capital Strategy Advisorsの名義でユニバーサルエンターテインメントグループと契約を交わし、同社グループを支援すると約束していた
原告のユニバーサルエンターテインメントグループは、Alexander Eiseman氏がユニバーサルエンターテインメントグループを支援する立場でありながら、秘密裏にJason Ader氏と取引して26 Capital Acquisition Corpのスポンサー株式を譲り受けていたことを非難している
ユニバーサルエンターテインメントグループに言わせると、「26 Capital Acquisition CorpとAlexander Eiseman氏およびZama Capitalの利害関係を事前に把握していれば、米国上場のために26 Capital Acquisition Corpと契約を結んだり、その契約を延長したりすることはなかった」という
ユニバーサルエンターテインメントグループは、被告が受託者責任をないがしろにするなどの契約違反を犯したとして、Zama Capital AdvisorsやZama Capital Strategy Advisorsと結んだ契約の破棄、これまで支払ってきた手数料の返還、といったものを求めている
D
訴訟がはじまった時期
2023年6月
場所
ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所
原告
Rimu Capital
被告
Jason Ader / SpringOwl Asset Management / SpringOwl Associates / Ader Fund Management / 26 Capital Holdings
Rimu Capitalによれば、「(26 Capital Acquisition Corpがユニバーサルエンターテインメントグループと)合併するのに必要な資金」との説明を受けて、2021年12月に2500万米ドルをJason Ader氏から指定された口座に送金し、投資したはずだったのに、あとになってこの資金がJason Ader氏個人に渡っていたとわかったという