フィリピンの当局が岡田和生氏に対して逮捕状を出してからすでに半年以上経つというのに、当の本人はこれまでのところ、どこ吹く風で活動を続けています。なぜ、氏はおたずね者であるのに、こうも自由にしていられるのか。それは、当局がいまのところ国際指名手配のような手続きにまで踏み込んでいないためです。岡田和生氏はフィリピンに入国しない限り身柄を拘束されませんし、他国にいるぶんにはとくに活動の制限もないのです。……ただし、です。氏はこのまま日本などに滞在していればずっと安泰、というわけでもありません。
この記事のあらすじ
- 岡田和生氏が今後直面する可能性のある、難局について取り上げる
- 氏は、フィリピンの逮捕状にだけ気を付けておけば安泰、というわけでもない
フィリピン国外でも「おたずね者」になる可能性
岡田和生氏の今後を大きく左右する要因のひとつとして着目したいのは、氏がユニバーサルエンターテインメント(UE社)から提起されている損害賠償請求訴訟です。この訴訟の結果次第で、氏は刑事責任を負う可能性があります。
損害賠償請求訴訟の概要 |
訴訟提起の日付 | 管轄の裁判所 |
2017年11月27日 | 東京地方裁判所 |
原告 | 被告 |
ユニバーサルエンターテインメント | 岡田和生 |
訴訟の内容 | |
原告・ユニバーサルエンターテインメントは、岡田和生氏の任務懈怠(=取締役としての任務をおこたること)によって被った損害(の一部)を請求している。この訴訟を提起した当時に会社から公表されたリリースはこちら。 |
この訴訟はあくまで民事(私人同士のトラブル)のことですから、そこに刑事責任なんて話を持ち出しても疑問に思うかもしれません。
なぜ、刑事責任云々の話になるかといえば、この訴訟のなかで会社サイドが、「調査の結果発覚した不正行為3件の原因は岡田和生氏にある」と主張しているから。そして、この不正行為3件というのは、岡田和生氏個人が利得を得るために画策したと見られているものだから、です。つまり、もし仮にこの訴訟で会社サイドの主張が認められた場合、氏は会社に対して背任行為を犯したことにもなり、会社法上、特別背任の罪に問われることになると見込まれるのです。
会社法の第九百六十条から
※文中、黄色のアンダーラインは当サイトが加えたもの。次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 発起人
二 設立時取締役又は設立時監査役
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役
四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六 支配人
七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八 検査役引用元:会社法 - e-Gov法令検索
罪に問われる事態になった場合、岡田和生氏の活動がいままで通りいかなくなることは間違いないでしょう。少なくとも、いまよりずっと制限されたものになるはずです。また、香港においては、かねてから岡田和生氏を追ってきた捜査機関・ICACが動き出す可能性もあるかもしれません。
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香港の捜査当局が岡田和生氏の身柄を一時拘束
渦中にある岡田和生氏は、一連の不正行為が明るみになってから1年少々経過した2018年7月末ごろ、香港で汚職を取り締まる廉政公署(ICAC)に一時身柄を拘束されていました。この拘束の理由については諸説あ ...
なお、ここで取り上げた損害賠償請求訴訟については、すでに当事者に対する尋問まで済んでおり、そう遠くないうちに一審の判決が出る見込みです。
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疑惑は黒か白か――岡田和生氏が抱える訴訟のいま
ユニバーサルエンターテインメント(UE社)が岡田和生氏を相手取って提起していた訴訟のうち、東京地裁で係争中の案件は佳境に入ってきたようです。去る2019年5月には岡田和生氏本人が出廷し、尋問の手続きを ...
当の岡田和生氏は、つい先日Instagramのアカウントまで開設してにぎやかにやっているようですが、実際のところは尻についた火を消せるか否かの瀬戸際にあるのではないでしょうか。

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