岡田和生グループがオカダマニラを強奪し、占拠を続けている状況に対して、岡田和生氏の息子・知裕氏がプレスリリースを通じて声明を公表しました。岡田知裕氏がこうやって表立った動きを見せるのはこれまでなかったことであり、これは強い決意のあらわれと言えそうです。
岡田知裕氏の主な声明
- 「私は、以前から父の経営や倫理観に反対してきました。父は、常に法律の上に立っているかのように行動するからです」
- 「父は、合法性とグッドガバナンス(=善き統治)の観念すべてを失っている。自分の会社を、まるで自分の貯金箱のように使っており、それがいま直面している数々の事件につながっている。私は、父と彼による偽りの取締役会とは関わりたくないし、そのような行動を許容することもできません」
- 「私はオカダマニラの不法占拠も、彼ら(=父とその支持者)が現在オカダマニラを管理・支配しているという主張も認めません。私は、株主によって正当に選ばれたバイロン・イップ氏が率いるTiger Resort Leisure & Entertainmentの取締役会が、オカダマニラを経営していると認めるだけです」
- 「私の父がオカダホールディングスの少数株主であるからといって、オカダマニラを支配する権利はなく、ましてや誰かを取締役に任命する権利などありません」
- 「彼らによる法の曲解は終わらせなければなりません」
- 「私はオカダホールディングス、ユニバーサルエンターテインメント、Tiger Resort Asiaの取締役会を組織し、この問題に直ちに取り組み、法務チームと協力し、フィリピンの裁判所に是正を求め、岡田和生グループの、じつに恥ずべき企業強盗による無益な企てを終わらせます」
参照元1:Okada offspring slams ‘perverted’ Okada Manila takeover
文面を読むとわかるように、岡田知裕氏の声明は、法令違反もいとわない父・和生氏のやり方や姿勢を非難しつつ、自身が現状の是正に取り組むことを伝えるような内容になっています。
そしておそらくは、ユニバーサルエンターテインメントグループを束ねる究極的な親会社、オカダホールディングスの筆頭株主として、オカダマニラの経営権が父・和生氏にないことを、改めてフィリピンの内外に伝える意味合いもあるのでしょう。法律的見地からいえば、父親とその支持者たちがやっていることはあくまで不法占拠、と断定している点は象徴的です。
念のため重要な点についておさらいしておくと、いま現在、オカダホールディングスの実権が岡田知裕氏にあるのは、「争いのない、確固たる事実」であり、疑いの余地はありません。
これまでの経緯についてお忘れの方、ご存知ない方は、当サイトがこれまでつづってきた記事をご確認ください。
岡田知裕氏とオカダホールディングスの軌跡
(1)妹と信託契約を結ぶことでオカダホールディングスの実権を確保
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【導入3】オカダホールディングスを巡る議決権争い
ユニバーサルエンターテインメント(UE社)の経営云々を語る上で重要なポイントが、その株主構成にあります。同社の発行する全株式のうち68%ほどを保有し、圧倒的な議決権を確保しているのは香港法人オカダホー ...
(2)日本で訴訟を提起して信託契約の有効性を確認
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信託契約問題に決着 オカダホールディングスの実権は知裕氏に有り
岡田一族の資産管理会社・オカダホールディングスに関連して、岡田和生氏の息子・知裕氏が、妹の裕実氏と結んだ信託契約。この契約の有効性をめぐって続いてきた法廷闘争が、ついに終局をむかえました。 訴訟は「信 ...
(3)香港当局もオカダホールディングスの実権が知裕氏にあることを追認
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「オカダホールディングスの実権をにぎるのは誰か?」――香港の政府機関が結論
香港の登記所のウェブサイトで、オカダホールディングスのステータスに変更がありました。これは、ユニバーサルエンターテイメントに残る経営陣と、同社の創業者・岡田和生氏の対立を見る上で、無視できない変化だと ...
当の岡田和生氏は公の場で、「いま自分がオカダマニラのCEOに就いているのは、最高裁判所から出た命令にもとづく」といった主張を再三繰り返していますが、岡田和生グループの説明によれば、その命令は「岡田和生をTiger Resort Asia社の代表として認め、Tiger Resort Leisure & Entertainment社の株主、取締役、会長、そしてCEOとして直ちに復職させるよう指示する」といった文脈になっており、法律面に瑕疵があることは明らかです。上に挙げた「会社の所有権構造」の図解を見ればわかるとおり、「Tiger Resort Asia社」は香港に所在する法人であり、その代表を決める権限があるのは、ユニバーサルエンターテインメントや、その親会社・オカダホールディングスの実権をにぎる岡田知裕氏なのですから。言ってしまえば、岡田和生氏が繰り返している主張は、まやかしにすぎません。
なぜ最高裁判所は「岡田和生をTiger Resort Asia社の代表」と認めたのか?
なぜ、フィリピンの最高裁判所は、管轄権を無視するような形で、「岡田和生をTiger Resort Asia社の代表として認め、Tiger Resort Leisure & Entertainment社の株主、取締役、会長、そしてCEOとして直ちに復職させるよう指示する」命令を出したのか? このあたりについては、いまのところまだはっきりしませんが、手がかりがないわけでもありません。
そのひとつは、岡田和生陣営から例の命令を最高裁判所に求めるにあたって提出したTiger Resort Asia社のGIS(=General Information Sheet≒企業の年次報告書)が、2016年当時のものだった、という事実です。つまり、岡田和生陣営は、自分たちに都合のよいように、岡田和生氏がまだTiger Resort Asia社の代表者だった当時のGISを提出し、最高裁判所のミスリードを誘った疑いがあるのです。
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