2017年にユニバーサルエンターテインメントグループの会長職から追い落とされて以来、復職に執念を燃やす岡田和生氏が続けてきた攻勢も、そろそろ弾切れ。そんな局面に入るかもしれません。2023年12月22日に千葉地方裁判所は、岡田和生氏が「最後のよりどころ」にしてきた主張に対して、棄却する旨を言い渡しました。
「一発逆転プラン」は空振り
審判の舞台になった訴訟は、岡田和生氏が息子の知裕氏を相手取って、「預けていた株式を私に返すように」と訴えていたものです。
この訴訟は、下記のリンク先で取り上げている訴訟(け)に該当します。
-
【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【日本】
ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、日本国内で起きた訴訟をまとめました。なお、ここに掲載中の訴訟は、ユニバーサルエンターテインメントにおいて経営騒動が表面化してから提起されたも ...
提訴に動いた岡田和生氏の理屈は、ユニバーサルエンターテインメントグループの経営者として返り咲くため、一発逆転を狙うような内容でした。「いま現在、子供たちの名義になっているオカダホールディングスの株式は、もともと便宜上、私の名義になっていた株式を子供たちの名義を変えたことが発端になっている」「子供の名義になっているといっても、子供たちに株式の所有権があるわけではない」――こんな理屈で、知裕氏の名義になっているオカダホールディングスの株式が、実際には自分のものだと主張したのです。
ご存知のようにオカダホールディングスといえば、ユニバーサルエンターテインメントの実質的な親会社にあたる法人ですから、もし仮に裁判所が岡田和生氏の主張を事実として認めていたら、状況は一変します。岡田和生氏としては、いわゆる「名義株」の理屈でオカダホールディングスの実権が自分にあると証明し、その権力を行使することでユニバーサルエンターテインメントグループの経営者として復職を果たすつもりだったのでしょう。
参考までにふれておくと、当サイトでは、岡田和生氏の主張が訴訟で認められるとは考えにくいと以前から指摘していました。
-
ユニバーサルエンターテインメントのキーマン・岡田知裕氏が父親と戦うなかで明かした「知られざる事実」
ユニバーサルエンターテインメントが1998年に「アルゼ」という社名で自社の株式を一般に公開した当初から、同社の有価証券報告書の「大株主」欄には、たしかに『岡田知裕』という名前がありました。ところが、彼 ...
万策尽きる可能性
このたび出た結論はあくまで地方裁判所の一審判決ですから、もちろんこのあと控訴の手続きがあるはずです。岡田和生氏がここであきらめるとは思えません。
ただ、もう少し先に目を向けると、少し違った未来が見えてくるように思います。
振り返ってみるとわかるように、これまで岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテインメントグループの経営者に返り咲くため、さまざまな手を打ってきました。しかし、いずれの手も十分な成果につながらなかったことから、その挙げ句に出してきたのが名義株の主張だったのです。
岡田和生氏が復権のためにやってきたことの例とその結果
- 子供たちをはじめとした岡田家の面々に対して、オカダホールディングスの株式を自分に売却するよう申し立てるも、香港高等法院はこれを棄却(リンク先の訴訟(ア)参照)
- 「オカダホールディングスの代表に復帰した」として、日本で会見まで開いたものの、法的根拠なし(参考記事)
- 自分がオカダホールディングスの取締役に復帰した旨を香港の登記所に届け出たところ、登記官が受理しなかったため、現地で登記官を提訴したものの、棄却されて終わった(リンク先の訴訟(カ)参照)
- 息子の知裕氏と娘の裕実氏がオカダホールディングスの株式に関連して結んだ信託契約は無効なものだとして、法廷でその旨を裕実氏に主張させたものの、裁判所は信託契約が有効なものだと結論づける(参考記事)
もし仮にこの訴訟で引き続き岡田和生氏の主張が認められないまま終わった場合、どうなるか? ひょっとすると氏は、万策尽きる瀬戸際にあるのではないでしょうか。
にほんブログ村
社会・経済ランキング
記事の内容に満足いただけたら、クリックをお願いします。