ここまで通読いただいたならわかるように、ウェルインベストメンツリミテッド名義の契約は、いわくつきのシロモノと言わざるをえないものでした。
この訴訟に判決が下ることはありませんでしたが、裁判官がこれらの契約を疑わしいものと見ていたのは間違いないでしょう。裁判官から当事者双方に提示した和解案、これこそが何よりの証左です。
和解案のポイント
- 和解案において裁判官は、当初訴訟で100億円超を請求したはずの荒井弁護士に、解決金として3億円を支払うよう求めた
- ユニバーサルエンターテインメントは、荒井弁護士個人に支払いすぎた着手金があったとして、反訴を通じて過払いぶんの返還を別途請求していたものの、この総額は5000万円ちょっとにすぎない
- ユニバーサルエンターテインメントから請求した過払いぶんおよそ5000万円について、その全額を返還するよう裁判官が荒井弁護士に求めたとしても、解決金の3億円には遠く及ばない
- したがって、解決金が3億円という規模になっていることからいって、裁判官はウェルインベストメンツリミテッド名義の契約をどこかしら問題視していたと考えられる
訴訟のプロセスでは、判決に先立って、裁判官から心証(=裁判を通じて明らかになった事実から裁判官が導き出した認識のこと)をほのめかした上で、当事者に和解を検討するよううながすことがあります。
おそらくは荒井弁護士も、裁判官の心証から自分が不利な状況にあることを認識し、和解に応じるべきと判断したのではないでしょうか。和解に応じておけば、ひとまず結論はうやむやになります。判決のなかで自分にとって不都合な話をとうとうと明かされることに比べたら、ずっとマシでしょう。
もっとも、彼の思惑通りこのままコトが片づくかといえば、そこはわかりません。なぜなら荒井弁護士は一連の契約に関連して、すでに弁護士会で懲戒処分の検討対象になっているためです。
荒井弁護士が懲戒処分に直面しているという話は、こちらの記事で取り上げています。
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自らまいたタネが、この先どんな結末につながるのか。彼にとっては、まだ予断を許さない状況が続きます。
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