岡田和生の現在(いま)と過去

【情報メモ】「オカダマニラ占拠」の経緯と変遷

【2022年8月】

2022年8月になってフィリピンの最高裁判所が公表した書面

フィリピンの最高裁判所がオカダマニラをめぐる抗争に言及

  • SQAOの発令から3ヶ月以上たった8月になって、フィリピンの最高裁判所が書面を公表(決議は2022年8月10日付け
  • このなかで、これまで最高裁判所が説明してこなかったSQAOの詳細について、はじめて言及するとともに、「SQAOは、TRLEIに対する岡田和生の間接的な受益者としての権益を保護することのみ、目的としている」と指摘した
  • 5月31日の事件以降、岡田和生グループは
    「最高裁判所はSQAOを通じて、岡田和生氏をTRAの代表者として認めた」
    「そしてその結果、岡田和生氏はTRLEIのCEOに復帰した」
    「だから我々がオカダマニラを経営する」
    といった文脈の主張を繰り返していたが、最高裁判所の文面に「岡田和生をTRAの代表者として認める」といった言及はない
  • つまり、最高裁判所から出た書面は、オカダマニラを乗っ取った岡田和生グループの主張にデタラメが含まれていたことを浮き彫りにしたとも言える
  • 以下は、最高裁判所の見解を抜粋・要約したもの

最高裁によるSQAOそのものの説明

  • 「Status quo ante」はラテン語で「以前の状態」を意味する言葉
  • つまり「Status Quo Ante Order」(=SQAO)は、「論争前の状況を確保するために課す」もの
  • 平和的かつ争いのない状況を確保することを意図している
  • SQAOは「当事者に救済策を与えるために最高裁大法廷が創設した仮命令」
  • SQAOは衡平法上の配慮から、一方的に発行できる
  • デュープロセスを剥奪されたというTRLEI(≒ユニバーサルエンターテインメントグループ)の主張は認められない
  • 我々は一方的にSQAOを発令したが、それは我々の権限

SQAO発令の経緯

  • 当裁判所第2部のメンバーは問題点、当事者の主張、SQAOの発令を正当化する理由について議論し、審議した
  • 最終的に、第2部のメンバーは全会一致で2022年4月27日にSQAOを発令すると決めた
  • 岡田和生がオカダホールディングスを通じて、TRLEIの株式31.47%を間接的に所有していることに議論の余地はなかった
  • このような間接所有は、岡田和生がTRLEIに対して一定の権益を有するという意味で重要
  • 衡平性の観点から、完全子会社にあたる会社の資産や財産に対して、親会社の株主の受益権も認められる場合がある
  • 注目したのは、岡田和生が追放された2017年以降、TRLEIは損失と資本の欠損を被っている、と彼が主張したこと
  • TRLEIの損失と資本に関する主張は、同社がフィリピンの証券取引委員会に提出した資料で確認できるので、反証がない限り正しいものと推定できる
  • このようなデータと、状況の緊急性を考慮した結果、当裁判所はTRLEIに生じかねないさらなる損害を軽減するため、SQAOを発令した

「間接所有」とは?


フィリピンの最高裁判所が、「岡田和生はTRLEIの株式31.47%を間接的に所有している」と認定したのは、オカダホールディングスの持株比率に起因する。具体的には、

  1. 岡田和生がオカダホールディングスの株式およそ46.4%を持っているという事実に争いはない
  2. オカダホールディングスはTRLEIにとって最終的な親会社(※下の図解を参照)
  3. したがって、岡田和生はTRLEIの31.47%を実質的に所有する(46.4%×67.9%×100%×99.9%=31.47%)

という見方にもとづく。言い換えれば、最高裁判所は

  1. 「岡田和生はこのようにTRLEIの間接所有者に該当する」
  2. 「2017年以降、TRLEIが損失を続けているなら、それは岡田和生にとっての損失でもある」
  3. 「ならば、岡田和生がTRLEIの経営に関与できた、かつてのような状態に戻すことで、ひとまず彼の権利を保護する」

といったロジックで、SQAOの発令を説明したということ。

オカダホールディングスをふくめたユニバーサルエンターテインメントグループの構造

しかしそれにしても、この訴訟で一審二審とも勝訴していたユニバーサルエンターテインメントグループに反論の機会すら与えないどころか、当初十分な説明もしないまま、最高裁判所が一方的にSQAOの発令に踏み切ったのは、本当に衡平性のある判断(≒大雑把にいえば、つりあいのとれた判断)だったと言えるのかどうか。いささか疑問符のつく決定プロセスだったように見えなくもない。

今回のケースにおけるSQAOの意図

  • 当裁判所は、本件紛争に先立つ「争いのなかった状況」を、「岡田和生がTRLEIから追放される前」と判断して、SQAOを発令した
  • SQAOの発令は、衡平性に基づくものだった
  • SQAOは、本訴訟が解決を見るまでの間、TRLEIに対する岡田和生の間接的な受益者としての権益を保護すること、それだけを目的としている
  • 当裁判所はSQAOの発令により、「TRLEIが2017年に岡田和生を解任したことは無効になる」と宣言しているわけではない
  • また、「解任は無効」と訴える岡田和生は、その根拠としてオカダホールディングスの所有権が自分にあると主張しているが、我々はこの点について何かしら裁決したわけでもない

今後の手続きについて

  • 我々は、オカダマニラをめぐる紛争に関する証拠調べを控訴裁判所に委ねる
  • 当事者たちから控訴裁判所に証拠資料が提出されたのち、控訴裁判所から報告書および勧告書が提出されるまで、SQAOは継続する

裁判所が当事者に求めた証拠はどんなもの?


ここで裁判所が岡田和生陣営とユニバーサルエンターテインメントグループの双方に求めた証拠というのは、大きくわけて

  1. TRLEIの財務状況や、同社の資産が消失していくという疑惑について証明/反証するもの(※上記「SQAO発令の経緯」と関連)
  2. TRLEIにとって最終的な親会社にあたるオカダホールディングスの所有権や実権について証明するもの

の二通り。

裁判所は、「SQAOを解除するか否か」審議し、最終的に「TRLEIが岡田和生氏を追放したのは無効になるのかどうか」判断するため、これらの証拠を参照する。

ちなみにフィリピンの最高裁判所は、ここで「オカダホールディングスの所有権や実権について証明するもの」を要求するにあたって、「それらの文書が真正なものだと明示する証拠」も提出するよう注文をつけました。オカダホールディングスの実権については、日本や香港で「(実権は)岡田知裕にある」との結論に至っているのが現実ですが、フィリピンの裁判所の説明によれば、そういった事実を同国で承認するには、所定の手続きを経た証明書などが必要になるとのことです。


「オカダホールディングスの実権をにぎるのは誰か?」――香港の政府機関が結論

香港の登記所のウェブサイトで、オカダホールディングスのステータスに変更がありました。これは、ユニバーサルエンターテイメントに残る経営陣と、同社の創業者・岡田和生氏の対立を見る上で、無視できない変化だと ...




【2022年9月2日】

オカダマニラの構造(2022年9月以降)

ユニバーサルエンターテインメントグループがオカダマニラを奪還

  • 3ヶ月ちょっとの間、岡田和生グループに支配されていたオカダマニラを、ユニバーサルエンターテインメントグループが2022年9月2日に奪還した
  • ユニバーサルエンターテインメントグループと岡田和生グループの形勢は逆転し、ユニバーサルエンターテインメントグループがオカダマニラの運営業務に復帰
  • 岡田和生氏による指名を通じて取締役会メンバーになったとされていた岡田和生グループの面々は、オカダマニラから追い出された
  • ただし、2017年にTRLEIのCEOから解任されていた岡田和生氏を、一旦元に戻すようTRLEIに命じた、最高裁判所の命令(=SQAO)があるため、岡田和生氏だけはTRLEIの取締役会メンバーに残った

どのようにして奪還に至ったのか?

  • きっかけになったのは、9月に入ってすぐフィリピンの司法省が最高裁判所の書面を引き合いにして、次のような見解を示したこと
  • 「SQAOは岡田和生の復帰のみを認めた」
    「岡田和生に対して、新たな取締役会を組織したり招集したりする権限まで与えたわけではない」
    「岡田和生が指名した取締役会のメンバー(Antonio Cojuangcoなど)は、TRLEIの取締役になる資格はない」
    「したがって、岡田和生グループの行動はSQAOから逸脱しており、違反にあたる」

  • こうした見解を受けて、フィリピンでカジノ・ゲーミング産業の規制を担当するPAGCORが、岡田和生グループに対してオカダマニラの明け渡しを迫る「CDO(=Cease and Desist Order=即時停止命令)」を9月2日に発令した
  • 司法省は「PAGCORが規制当局としての職務を怠れば、ゲーミング業界に深刻な影響を与え、ひいては国民に不利益をもたらす」とも指摘していた

奪還当日の様子は?

  • オカダマニラの一角ではいざこざが発生
  • PAGCORから出た命令を執行してオカダマニラを元の鞘におさめようとする勢力と、岡田和生グループ率いるセキュリティスタッフの間で、もみあいになった
  • 岡田和生グループはオカダマニラの入り口にバリケードを設置するなどして抵抗したものの、フィリピン国家警察やSWATの出動もあり、衝突が過度にエスカレートすることはなかった

オカダマニラから追い出された岡田和生グループはどう出た?

  • 司法省とPAGCORの介入によってオカダマニラから追い出されるような格好になった岡田和生グループは、「PAGCORが裁判所の手続きに背いた」「PAGCORの命令は、司法長官の意見にもとづいて手っ取り早く出したものにすぎず、適切なものではない」などとPAGCORを非難
  • まもなくして、PAGCORから出たオカダマニラの明け渡し命令に対抗すべく、「岡田和生の率いる取締役会を退ける、あるいは最高裁判所のSQAOを妨げる、いかなる行為も禁止するよう」裁判所に求めたが、この申し立ては即座に棄却された
  • ちなみに、ただひとりTRLEIの取締役会メンバーに残った岡田和生氏には、ユニバーサルエンターテインメントグループから取締役会の招集通知を出したものの、本人は取締役会当日に姿を見せなかったとのこと

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