岡田和生の現在(いま)と過去

“YouTuber 岡田和生” その見解やいかに

「民衆の応援が岡田和生にパワーを与える」。こう銘打たれた動画が「岡田和生」のYoutubeアカウントから配信されたのは、2019年3月半ばのこと。動画には岡田和生氏本人が登場し、なぜ自ら創業した会社を離れることになっているか、言及しました。しかし、このなかで氏が披露した一連の見解は、根拠に欠けたものと評価せざるをえないように映ります。

YouTuber岡田和生

この記事のあらすじ

  • 岡田和生氏がYouTubeに投稿した動画の内容を検証する
  • 注目ポイントは3つ
  • 動画の意図は、世間をミスリード(=誤った方向に導くこと)することにあると考えられる

センセーショナルな表現に終始

まずは岡田和生氏が動画のなかで語った、彼の見解を抜き出してみましょう。

​YouTubeから

私が創業者でありながら、いま、じつは無職という立場に置かれています。これはとんでもない話で、私にとってみれば、突然起こったこと。

私の息子がクーデターを起こして。

私の株を自分のものだという風に勘違いしたのか。だまされたのか。

いずれにしても私のものを息子の株だとして、いろいろ悪さをする人たちがたくさんいて。その悪さをしている人たちに、まったくデタラメな言いがかりをつけられて、私がまるで犯罪者のように言われております。

引用元:民衆の応援が岡田和生にパワーを与える part3

「クーデター」
「だまされた」
「悪さをする人たちがたくさん」

ずいぶんセンセーショナルな言葉が並びました。ただし、これだけだと中身についてはいまいち見えてこないというのが実際でしょう。過激な表現を各種用いることで想像をかきたてる、それ自体が目的だったりするのかもしれませんが。

私情にとらわれた感

動画の主なポイントは、主に3つです。

  • 1.「私の息子がクーデター」
  • 2.「私の株を自分のものだという風に勘違い」
  • 3.「悪さをしている人たちがいる」


これらの詳しいところは、動画の公開前後に発売になった週刊誌の記事と照らし合わせていくと見えてきます。


週刊ポスト 2019年 3月22日号 [雑誌]



週刊現代 2019年 3/30 号 [雑誌]

1.「私の息子がクーデター」?

Answer

不正が疑われる人間を排するのはむしろ賢明な判断。

​クーデターとは一般的に、武力によって非合法的に政権を奪取する動きに対して用いられる言葉です。

動画のなかで岡田和生氏は、自身が「創業者でありながら無職という立場になっている」ことについて、「突然起こったこと」と述べていますから、自身が不当に失脚させられたと主張したいのでしょう。

しかし、そもそも氏が会社を追われて無職の立場になったのは、氏による数々の不正疑惑があってのことです。

【導入2】岡田和生氏に疑惑 会社に断りなく多額の送金を指示か

岡田和生氏による不正行為については、ユニバーサルエンターテインメント(UE社)と利害関係のない弁護士3名からなる特別調査委員会が、調査結果を出しています。調査結果が公になったのは2017年8月30日の ...

この不正を調査するなかでは、岡田和生氏に対して弁明の機会も設けられましたが、氏はそれを反故にしています

不正が疑われる人物を一旦経営から外そうとするのは、まっとうな判断です。たとえば金融機関はこういった事態を好みません。場合によっては、融資の打ち切りに動く可能性だってあります。そうなった場合、融資を打ち切られる立場になるユニバーサルエンターテインメントは、存続が危ぶまれるような状況に陥りかねません。

​それに、ユニバーサルエンターテインメントの場合、フィリピンで展開するカジノリゾート事業「オカダマニラ」のこともあります。カジノの運営に携わるには当局から交付を受けるライセンスが必須になりますが、仮に経営者に不正があったとなれば、このライセンスの剥奪につながる恐れもありました。

​この意味で、岡田和生氏の息子である知裕氏が、父親に断りなく父親を排斥しようとしたのは、むしろ賢明な判断だったと言えます。追い出された当人からすれば不当に感じるのでしょうが、多くの従業員や取引先などが理不尽な目にあわずに済んだのです。岡田和生氏個人から見た主観ではなく、物事全体を俯瞰して考えることが大切でしょう。

2.「私の株を自分のものだと勘違い」?

Answer

東京地裁では、OHLの株式は子供たちのものだという結論。

ここで言う「株」とは、ユニバーサルエンターテインメントを実質的に支配する立場にある法人=オカダホールディングス(OHL)の株式のことです。

つまり、岡田和生氏が口にした「私の株を自分のものだと勘違い」というフレーズを言い換えれば、こんなニュアンスになるのでしょう。

「息子の持つオカダホールディングスの株式は、本当は私のものなのに、彼は勘違いしている」。

しかし、この点については反証があります。

息子である知裕氏が、妹の裕実氏に対して提起した民事訴訟、こちらの判決文です。

オカダホールディングスをめぐる信託契約『有効』の判決 ​

オカダホールディングスの実権を取り戻すべく、ひいてはユニバーサルエンターテインメントの経営陣に復帰すべく、岡田和生氏はここまであらゆる手を尽くしてきたわけですが、コトは思うように進まないようです。この ...

​訴訟の判決は2019年1月25日に言い渡されており、後日公表された判決文には「争いのない事実」として、次のような文言がありました。

判決文から
文中にある(※)は当サイトで補足したもの。

OHL は、香港に所在する法人であり、その株式のうち40 億7130万6841株(発行済株式総数の約43.5%)を原告(※岡田知裕氏のこと)が保有し、うち9億1612万7910株(発行済株式総数の約9.8%。以下「本件被告株式」という。)を被告(※妹の岡田裕実氏のこと)が保有し、うち43億4214万7372株(発行済株式総数の約46.4%)を和生(※岡田和生氏のこと)が保有している。

(引用元:岡田知裕氏が提起した民事訴訟の判決文)

これはつまり、岡田和生氏の息子と娘がそれぞれ、オカダホールディングスの株式を保有しているのは明白であり、裁判において争点にすらならなかったということです。

株式の所有権について岡田和生氏は、週刊誌のインタビューに対して

週刊ポスト 2019年3月22日号から

息子の株は“名義株”だから議決権はないものと、高を括っていた

引用元:妻と息子に会社を追放されるまで

とも述べていますから、ひょっとすれば子供たちの見解が誤っているとでも言いたいのかもしれません。

しかし、この点についても反証はあります。

岡田和生氏の述べた“名義株”というのは、公になっている名義人とは別に、真の所有者がいる株式のことです。名義人は、あくまで名前を貸すだけ。株式に付随するすべての権利は真の所有者(今回でいえば、岡田和生氏)に帰属します。

もし、岡田和生氏の主張する通り、「息子の株は“名義株”」なのであれば、当然税金の負担まですべて氏が受け持つことになるわけですが、実際は異なりました。上に挙げた裁判のなかで息子の知裕氏は、株式に関連して自らが税金を支払ったと明言しているのです。

岡田和生氏の主張は、復職したいがためのデタラメ、と指摘されたとしても仕方ないでしょう。

3.「悪さをする人がたくさんいる」?


Answer

岡田和生氏以外の経営陣は、不正と戦う決意をしたに過ぎない。

岡田和生氏は動画のなかで、「私のものを息子の株だとして」と口にしたあと、「いろいろ悪さをする人たち」とつなげています。週刊誌の記事には、

週刊現代 2019年3月30日号から

'17年5月にUE現経営陣と長男、長女、妻らにクーデターを起こされ、会長職を追われる。

(引用元:資産2600億円のユニバーサル岡田前会長が明かした)

との記述がありますから、具体的にはユニバーサルエンターテインメントの経営陣(夫人も取締役のひとり)を非難したいのだと見えます。同じ週刊誌の記事には、岡田和生氏がクーデターの首謀者と標榜する人間を名指しして、

週刊現代 2019年3月30日号から

言葉巧みに私の長男、知裕を籠絡し、洗脳して、会社の乗っ取りを企てたのです

(引用元:資産2600億円のユニバーサル岡田前会長が明かした)

と述べるくだりもありました。

しかし、これもまた筋違いと言わざるをえません。

繰り返しになるものの、重要なことなので改めてふれておきますと、あくまですべては岡田和生氏による不正疑惑が発端です。

【導入2】岡田和生氏に疑惑 会社に断りなく多額の送金を指示か

岡田和生氏による不正行為については、ユニバーサルエンターテインメント(UE社)と利害関係のない弁護士3名からなる特別調査委員会が、調査結果を出しています。調査結果が公になったのは2017年8月30日の ...

​これらは特別背任罪に問われる恐れがあるものです。周りの人間からしてみれば、見てみぬふりをしていた場合、自分たちも共犯だととられかねない話なのです。

無職になった岡田和生氏は、残った経営陣を敵対視し、権力闘争だと騒ぎたいようですが、総じて見れば会社は法令遵守を重く見たに過ぎません。言いかえれば、経営陣は不正と戦う決意を示したということです。

「陰謀論」はなじまない

企業の経営をめぐって問題が生じると、とかく「陰謀論」がうごめきがちですが、そうした想像はさておいて、まず実態を見るべきです。

誰がどんなことに取り組んできて、どんな結果が出ているか。

ユニバーサルエンターテインメントの例でいえば、フィリピンの司法省がすでに岡田和生氏に対して起訴状、逮捕状を出しているというのは、無視できない現実であろうと思います。

フィリピン
終わりのはじまりか フィリピン当局が岡田和生氏を起訴、逮捕へ

「The darkest hour is always just before the dawn.」―― 夜明け前がいちばん暗い、なんて言葉がありますが、明けない夜はない、ということなのでしょう。闇夜 ...








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