いつもと同じように営業を続けていたリゾート施設の中枢に、徒党を組んだ集団が突如乗り込み、施設一帯を一気に占拠した――。まるで事情を知らない人が聞けば、漫画やドラマのワンシーンを思い浮かべそうな話ですが、これこそ2022年5月31日に、ユニバーサルエンターテインメントグループの所有するオカダマニラで起きたことです。
この日を境にはじまった、岡田和生グループとユニバーサルエンターテインメントグループの新たなせめぎ合い。その全体像を、ここにまとめました。
※新たな動きがあれば、状況に応じてこの記事を更新していきます)
事件発生前
- ユニバーサルエンターテインメントは香港に所在する子会社(Tiger Resort Asia=TRA)を通じて、フィリピンのTiger Resort Leisure & Entertainment社(=TRLEI)に出資している
- 出資比率は99.9%
- ユニバーサルエンターテインメントは、このTRLEIを通じてフィリピン・マニラにあるオカダマニラを経営してきた
- TRLEIの取締役会は、ユニバーサルエンターテインメントグループに所属する、またはグループに近しい面々で構成
- 2017年にユニバーサルエンターテインメントグループから追放された岡田和生氏は、当然ここに名を連ねていなかった
岡田和生氏がユニバーサルエンターテインメントグループから追放されたのは、本人による不正があったと確認されたためです。追放当時の詳しい話は、下記のページに掲載している各記事をご覧ください。
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ユニバーサルエンターテインメント その問題の発端と構造
騒動というものは、何かしらの火種があってはじめて起きるものです。では、なぜユニバーサルエンターテインメントの創業者は、自身が創業した会社を追われることになったのでしょう? ここでは、「何がきっかけで起 ...
事件の間際に起きていたこと
- 岡田和生氏と、氏を追放したTRLEI(≒ユニバーサルエンターテインメントグループ)の間で続いていた訴訟に関連して、フィリピンの最高裁判所が2022年4月27日付けで「SQAO」という命令を出していた
- この命令は、2017年にTRLEIのCEOから解任されていた岡田和生氏を、一旦元に戻すようTRLEIに命じるもの
- 当該訴訟は岡田和生氏が「自分をTRLEIの取締役から解任したことは法律違反である」として提起したもので、これまで一審二審とも氏の敗訴に終わっていた
- それにもかかわらず突如SQAOのような命令が出たのは、驚天動地の出来事だったと言える
- この訴訟でこれまで無事に勝利をおさめていたユニバーサルエンターテインメントグループは、2022年5月に入ってすぐ、最高裁判所に対してSQAOの発令を再考するよう申し出た
4月27日付けで最高裁判所から出ていた命令(=SQAO)については、この命令が出てまもないころ、下記の記事でふれました。
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「岡田和生の復帰を認めた裁判所命令」が意味するところ
去る2022年5月11日、インターネット上にインパクトのある話が出回りました。なんと、ユニバーサルエンターテインメントグループから追放された岡田和生氏に手を差し伸べる、そんな命令がフィリピンの最高裁判 ...
最高裁判所の命令は、2018年から続いていた訴訟に関連して出たものです。この訴訟は、下記のリンク先にある訴訟(G)に該当します。
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【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【フィリピン】
ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、フィリピンで起きた訴訟をまとめたものです。なお、ここに掲載した情報は、現地の報道や、その他の国のメディアが報じた話をもとにしています。 &n ...
事件発生
【2022年5月31日】
岡田和生グループがオカダマニラに乗り込み、抗争は幕をあけた
- 2022年5月31日に、岡田和生グループがオカダマニラに乗り込んだ
- 彼らは施設の敷地内からユニバーサルエンターテインメントグループの関係者を追い出し、自分たちでオカダマニラの経営をはじめると表明
- 即日、新たな取締役人事まで公表した
- この日を境に、ユニバーサルエンターテインメントグループはTRLEIの株式99.9%を所有する立場でありながら、オカダマニラの実務に関与できなくなった
どうしてこうなった?
- 直接の原因は、岡田和生グループがオカダマニラに乗り込んだこと
- 岡田和生グループは大勢の私設警備員などを引き連れて現地に押しかけた
- 彼らがよりどころにしたのは、2022年4月27日付けでフィリピンの最高裁判所から出ていた「SQAO」(≒下記の画像参照)
- SQAOでは、2017年にTRLEIのCEOから解任されていた岡田和生氏を、一旦元に戻すようTRLEIに命じていたことから、岡田和生グループは「岡田和生氏がTRLEIのCEOに復帰し、我々がオカダマニラを経営することになった」と主張した
- なお、岡田和生グループは、最高裁判所がSQAOを通じて「岡田和生氏を(オカダマニラの親会社にあたる)TRAの代表者として認めた」とも主張したが、この点は後述するように、あとになって事実無根だったとはっきりしている
事件当日の様子については、下記の記事で詳しく取り上げています。
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岡田和生グループがオカダマニラを力ずくで奪い取る 実力行使に出た背景には何が?
ずいぶんと強引な手段に打って出たものです。フィリピンでは、2022年5月31日に岡田和生氏の意向をくんだグループが、50人ほどの私設警備員などを連れてオカダマニラを占拠する、といった行動に出ました。ま ...
「岡田和生グループ」とは?
- 「岡田和生グループ」は、岡田和生氏の意向をくんだ人物数名で構成されたもの
- 「岡田和生グループ」といっても、事件当日、現場に岡田和生氏本人がいたわけではない
- グループの主要人物として名前があがったのは、現地在住のAntonio Cojuangco(=アントニオ・コアンコ=通称Tonyboy)氏とDindo Espeleta(=ディンド・エスペラータ)氏
- ふたりはそれぞれ、岡田和生氏から(オカダマニラの)社長と副会長を任された
- また、岡田和生グループのその他のメンバーには、アルゼゲーミンググループの横田哲也氏や川村ひろし氏などの名前もあがっている
グループ内で中心的役割を担うふたりのフィリピン人と岡田和生氏のつながりについては、次の2つの記事で取り上げています。
なぜ、岡田和生グループは、オカダマニラを力ずくで奪い取るという凶行に及んだのか? その動機を探る上では、事件の実行役になったフィリピン人のひとり、Antonio Cojuangco(=アントニオ・コア ... またも岡田和生氏にまつわる「カネの疑惑」が浮かび上がる格好になりました。当サイトが注目するのは、オカダマニラを力ずくで占拠した岡田和生グループの主要人物として名前のあがったDindo Espeleta ...
「オカダマニラ強奪」の実行役が岡田和生氏と交わるまで
岡田和生氏とディンド・エスペラータ氏 ふたりをつなぐ巨額の「裏金」
オカダマニラから追い出されたUEグループはどう出た?
- 岡田和生グループのやったことはあくまで不法行為だとして非難
- まもなくして、この日の事件に関与した面々をフィリピンで刑事告訴した
- また、6月9日~8月8日まで、フィリピンの最高裁判所に対してSQAOへの異議を唱える申し立てを繰り返した