香港の法人・Tiger Resort Asia社の代表は誰か?
これまで当サイトでは、フィリピンの最高裁判所が同国内に所在するTiger Resort Leisure and Entertainmentの人事に限って命令を下したという前提で、「岡田和生氏の復職を認める」命令のおかしさを指摘してきました。
過去に当サイトが最高裁判所から出た命令をどう論評したか。このあたりについては、下記の記事をご覧ください。
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「岡田和生の復帰を認めた裁判所命令」が意味するところ
去る2022年5月11日、インターネット上にインパクトのある話が出回りました。なんと、ユニバーサルエンターテインメントグループから追放された岡田和生氏に手を差し伸べる、そんな命令がフィリピンの最高裁判 ...
しかし、もともとの命令に、「香港に所在するTiger Resort Asia社の代表者として岡田和生氏を認める」といった含意があったのなら話は別です。最高裁判所から「岡田和生氏の復職を認める」命令が出るまでにおいて、何か手違いのようなことがあったのは、もはや間違いないと考えます。
まず第一に、岡田和生氏は、社内の不正に関与したことを追及されるなかで、2017年半ばにユニバーサルエンターテインメントグループの役職すべてを解任されました。この結果、当然同社グループ内の子会社・Tiger Resort Asiaの代表からも外れています。
下記の記事では、今日に至るまでの、そもそもの発端について説明しています。
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【導入1】経営騒動で焦点になっているのは複数の不正行為
ユニバーサルエンターテインメント社(UE社)の創業者である岡田和生氏が2018年10月現在、会社側からすべての役職を解かれ、経営の実権を手放していることについて、「大塚家具で起きていた親子の問題と変わ ...
そしてまた、こののち氏がTiger Resort Asiaの代表に再任した事実もありません。
これまで岡田和生氏は、ユニバーサルエンターテイメントグループに対して人事権を持つ実質的な親会社・オカダホールディングスの実権を取り戻すべく、日本や香港でありとあらゆる手段を講じてきたものの、結局どれも実ることなく、いまに至っているのでした。
下記の記事では、岡田和生氏がオカダホールディングスの実権を取り返すため、どんなことをやってきたのか、その一端をご確認いただけます。記事中の訴訟(ア)や(カ)をご覧ください。
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【地域別】ユニバーサルエンターテインメント関連訴訟相関図【香港】
ユニバーサルエンターテインメントおよび岡田和生氏に関連して、香港で起きた訴訟をここにまとめました。なお、掲載した情報は、現地の報道や開示書面、別件の訴訟のなかで明かされた話などをもとにしています。 ※ ...
いま現在、オカダホールディングスの実権を誰がにぎっているのかといえば、それは岡田和生氏の息子・知裕氏です。岡田和生氏ではありません。これは、オカダホールディングスの所在する、香港の登記所も容認した事実であり、いわば動かしようのない事実です。そして、こうした構造の上で、現在Tiger Resort Asiaの代表には、岡田幸子氏と麻野憲志氏という2名の取締役が就いています。
つまり、最高裁判所が命令のなかで「岡田和生氏をTiger Resort Asiaの代表者として認める」といっても、本来そんなことを立証できるモノはこの世に存在するはずがないのです。これは、明らかな矛盾でしょう。
オカダホールディングスの実権が誰にあるのか、というところについては、日本の裁判所から出た判決が決定的な要因になりました。
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信託契約問題に決着 オカダホールディングスの実権は知裕氏に有り
岡田一族の資産管理会社・オカダホールディングスに関連して、岡田和生氏の息子・知裕氏が、妹の裕実氏と結んだ信託契約。この契約の有効性をめぐって続いてきた法廷闘争が、ついに終局をむかえました。 訴訟は「信 ...
香港の登記所は、2021年にオカダホールディングスのステータスを更新しました。下記の記事では、オカダホールディングスの株主構成や取締役の名前が書面にどう記載されているか、ご確認いただけます。
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「オカダホールディングスの実権をにぎるのは誰か?」――香港の政府機関が結論
香港の登記所のウェブサイトで、オカダホールディングスのステータスに変更がありました。これは、ユニバーサルエンターテイメントに残る経営陣と、同社の創業者・岡田和生氏の対立を見る上で、無視できない変化だと ...
また、大胆な見立てとしては、フィリピンの裁判所が海を飛び越え、香港法人の人事に直接口を出すようにして、「岡田和生氏はTiger Resort Asiaの代表だ」と認めるようなことも一応考えられなくはありませんが、これは管轄権や内政不干渉の原則からいって、ありえない話です。もしもそんな判断があって「認める」ことになっているのなら、フィリピンの最高裁判所はとんでもない判例を残すことになります。